解離(防衛機制)

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解離とは

受け入れがたい体験や記憶を、正常な意識から切り離すこと。

体験や記憶、感覚や人格に空白部分が生じ、それらを統合できなくなる。

解離性障害解離性健忘解離性遁走離人症性障害解離性同一性障害)、PTSD(心的外傷後ストレス障害)や境界性パーソナリティ障害(BPD)などで見られる。

精神分析において、欲求不満(フラストレーション)葛藤に対処しようとする防衛機制適応機制)の一種である。


解離は、過去にヒステリーと呼ばれていたものの一種である。


解離の例

例えば、つらい記憶をなくす。

これは、解離性健忘の例である。

抑圧と異なるのは、フラッシュバックなどで蘇ることである。


例えば、記憶をなくして失踪し、知らないところで放浪する。

これは、解離性遁走(解離性とん走)の例である。


例えば、体験していることに現実感がなく、自分のことではないように感じる。

これは、離人症性障害(離人症)の例である。


例えば、体験や記憶が切り離された結果、複数の人格が形成される。

これは、解離性同一性障害(多重人格障害)の例である。


例えば、テレビに夢中になったり、読書に没頭して、呼びかけに反応しない。

これは、ある種の健全な解離の例である。

解離は、人間が空想する能力を進化させた結果、生まれた産物だとも考えられる。


抑圧と解離の違い

抑圧は、意識と無意識の間の水平の壁に対して、無意識の世界に押しやって蓋をすることである。

無意識の世界に押しやられた記憶は、簡単には想起されない。


解離は、意識にしろ無意識にしろ、垂直の壁で意識から切り離されていることである。

意識から切り離された体験や記憶は、フラッシュバックなどで想起されることがある。


隔離(分離)と解離の違い

感情や感覚だけを切り離す隔離(分離)は、体験そのものを意識から切り離す解離とは異なる。

隔離(分離)は、意識はできている(頭ではわかっている)が、感情だけが切り離されて(麻痺して)、無感覚の状態に陥っているのである。


感情や感覚だけを切り離す隔離(分離)は、体験そのものを意識から切り離す解離の一形態だとも言える。


ポリヴェーガル理論における解離

トラウマケアなどに用いられるポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)では、解離を生命の危機に対して行われる凍結反応・凍りつき反応(freeze response)の一種だとしている。


そのほかの防衛機制

以下は、代表的な防衛機制の一覧。

分類防衛機制内容備考
精神病的防衛否認受け入れがたい現実を、受け入れようとしない
例)重い病気になったことを認めない
死の受容過程
否認の病
→投影
精神病的防衛投影(投射)受け入れがたい自分の感情を、他人に押し付ける
例)自分が嫌っているのに、他人が自分を嫌っていると思い込む
妄想(パラノイア)
←否認
↔︎取り入れ
未熟な防衛退行受け入れがたい感情から、幼少期の精神状態に逆戻りする
例)赤ちゃん返りで、好きな人(親)の気を引く
子ども返り
赤ちゃん返り
未熟な防衛取り入れ(摂取)他人の属性(感情、価値観など)を自分のものにする
例)好きな人の行動を模倣する
うつ病(喪失体験)
→同一視
↔︎投影
神経症的防衛抑圧受け入れがたい感情を、意識から無意識の世界に押しやる
例)嫌なことを忘れる
ヒステリー
↔︎解離
→反動形成
→抑制
神経症的防衛反動形成受け入れがたい感情(本心)とは、反対に振る舞う
例)嫌いな人に丁寧に接する、好きな人に素っ気なく振る舞う
強迫神経症
←抑圧
→転倒
神経症的防衛隔離(分離)受け入れがたい感情を、思考・行為から切り離す
例)親しい人が亡くなっても、涙が出てこない
強迫神経症
→解離
→打ち消し
神経症的防衛打ち消し(取り消し)過去の思考・行為によって生じる感情を、反対の思考・行為で打ち消す
例)人を非難したあと、機嫌を取る
強迫神経症
←隔離
神経症的防衛解離受け入れがたい体験を、正常な意識から切り離す
例)つらい記憶をなくす(フラッシュバックすることも)
ヒステリー
←隔離(分離)
↔︎抑圧
神経症的防衛置き換え受け入れがたい感情を、別の対象に向ける
例)仕事のストレスを家庭で発散する
八つ当たり
神経症的防衛合理化受け入れがたい感情を、もっともらしい理由をつけて納得する
例)手の届かない目標を、自分に合ってないと思い込む
言い訳
すっぱい葡萄
自己への向き換え
(自虐)
相手に向けている感情を、自分自身に向ける
例)他人への怒りを、自分に向き換える
転倒(逆転)受け入れがたい感情と、反対の感情に変わる
例)好きな人とうまくいかないと、嫌いになる
←反動形成
成熟した防衛昇華反社会的行動を、社会的行動に転換する
例)嫌いな人(親)への反抗心から、勉強や仕事を頑張る
←補償
成熟した防衛同一視(同一化)受け入れがたい感情から、他人に自分を重ね合わせる
例)好きな人と同じ服装をする
←取り入れ


参考



関連する心理学用語

PTSD(心的外傷後ストレス障害)

解離性障害

離人症性障害(離人症)

失感情症(アレキシサイミア)

境界性パーソナリティ障害(BPD)

ポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)

防衛反応

凍結反応・凍りつき反応(freeze response)

猫にくわえられたネズミ

愛着(アタッチメント)

耐性領域(耐性の窓・Window of Tolerance)

精神分析

欲求不満(フラストレーション)

適応機制

葛藤(コンフリクト)

ストレスとトラウマ(心的外傷)

動因(欲求)と誘因

防衛反応

スキーマ

認知バイアス

防衛機制(防衛規制の種類と一覧)

否認(防衛機制)

投影・投射(防衛機制)

退行(防衛機制)

取り入れ・摂取(防衛機制)

抑圧(防衛機制)

反動形成(防衛機制)

隔離・分離(防衛機制)

打ち消し・取り消し(防衛機制)

置き換え(防衛機制)

合理化(防衛機制)

自己への向き換え・自虐(防衛機制)

転倒・逆転(防衛機制)

昇華(防衛機制)

同一視・同一化(防衛機制)


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