ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)とは
うつ病、不安障害(混合性不安、社交不安障害、全般性不安障害など)、強迫性障害(OCD)、慢性疼痛(慢性的な痛み)などにエビデンスのある心理療法です。
認知行動療法(行動療法)にマインドフルネスを取り入れた第三世代の認知行動療法で、スティーブン・ヘイズによって開発されました。
ACTは”アクト”と読みますが、人生に積極的に関与する行為を重視していることを表しています。
また、ACTは「アクセプトする(Accept)、選択する(Choose)、行動する(Take actions)」と説明されることもあります。
ACTは、関係フレーム理論(RFT)にもとづいており、言語や思考は関係性によって連鎖(派生)されるものとして捉えています。
これは、考えないようしようとすればするほど、考えてしまうことにつながります。気にしないようにすればするほど、気になってしまうのです。
この場合、問題解決モードではなく、マインドフルネスモードに頭を切り替える必要があります。
とらわれている対象のことを30回くらい繰り返し言ってみてください。
そうすると、何か変化がありますか?
なんだか馬鹿馬鹿しく感じたら、それはよい兆候です。
言葉にとらわれていたのが、少し距離を置くことができたのです。
第三世代の認知行動療法では、正常な防衛反応・ストレス反応である苦しみや不安がなくなることはないため、苦しみや不安をコントロールしようとするのではなく、いかに苦しみや不安と付き合いながら、自分の人生を歩んでいくのかが強調されます。
カウンセラーも苦しみや不安からは逃れられないのですが、だからこそクライエントの気持ちに共感することができるとされています。
これは、マインドフルネスや来談者中心療法などで共通する考え方です。
怖くて他人と目を合わせられないのですね。
では、他人と目を合わせられたことはありますか?
そのときのことを思い出してみましょう。
あるいは、「怖くて目を合わせられない」と言いながら目を合わせてみたらどうでしょうか?
実際にやってみましょう。
このようなエクササイズは、ACTエクササイズと呼ばれ、多くのものが生み出されています。
ACTでは、カウンセリングの中で、こうしたACTエクササイズやマインドフルネス瞑想の指導を行います。
友人が同じ悩みで苦しんでいたら、何と声をかけますか?
それと同じ言葉を、自分に向けて伝えてみましょう。
あるいは、10年後の自分を想像してみて、今の自分に向けた手紙を書いてみましょう。
その手紙には、どんなことを書こうと思いますか?
ACTでは、人間の機能モデルである心理的柔軟性に沿った見立て(アセスメント)と介入が行われます。
その心理的柔軟性は、6つの要素や3つの要素で表されます。
- オープンになる(opened)
- アクセプタンス・・・体験を回避しないこと(思考に逃げない)
- 脱フュージョン(脱とらわれ)・・・思考を手放すこと(思考は現実ではない)
- 今ここにいる(centered)
- 今、この瞬間・・・今に存在すること(過去や未来は思考でしかない)
- 文脈としての自己(視点取得)・・・観察する自己がいること(思考に巻き込まれない)
- 価値観に従う(engaged)
- 価値(価値観)・・・感覚で選択すること(思考に引っ張られない)
- コミットされた行為・・・価値に向かうこと(思考から行動に移す)
これらの言葉に何か引っかかりを感じた場合は、まさにACTが対象としている領域であると言えます。
参考
関連する心理学用語
関係フレーム理論
機能主義
S-R-S理論
行動療法
行動分析学
臨床行動分析(CBA)
関係フレーム理論(RFT)
認知行動療法(CBT)
第三世代の認知行動療法
マインドフルネス
来談者中心療法
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