防衛反応

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防衛反応とは

防衛反応とは、生命維持などの生存本能として即座に生じる反応のこと。

身体的な行動や生理作用などだけでなく、心理的な情動や感覚変化なども含んでいる。


以下の表は、ポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)の観点で、代表的な防衛反応をまとめたもの。

ここでは、自律神経系と同じく神経系である脳に関わる反応も含めて記載する。

なお、凍結反応・凍りつき反応に仮死(シャットダウン)を含まない場合もある。

防衛反応主要な神経系働き概要備考
定位反応
定位反射
(orienting response)
背側迷走神経複合体
(dorsal vagal complex)
不動
反射的
刺激に対して確認・接近する反射
驚き
凍結反応
凍りつき反応
すくみ反応
(freeze response)
背側迷走神経複合体
(dorsal vagal complex)
不動
反射的
刺激に対して凍結・衰弱する解離
仮死
記憶反応
(反芻など)

(brain)
認知
自動的
刺激に対して記録・探索する反芻
うつ
意味反応
(自動思考など)

(brain)
認知
自動的
刺激に対して評価・判断する言語
思考
逃走反応
(flight response)
交感神経系
(sympathetic nervous system)
可動
強迫的
刺激に対して逃避・回避する恐怖
不安
闘争反応
(fight response)
交感神経系
(sympathetic nervous system)
可動
強迫的
刺激に対して対抗・抑制する怒り
抑圧
注意反応
持続的注意反応
(attention response)
腹側迷走神経複合体
(ventral vagal complex)
律動
意図的
刺激に対して注意・観察する切替
分散
社会的関与
社会的交流
(social engagement)
腹側迷走神経複合体
(ventral vagal complex)
律動
意図的
刺激に対して協働・開放する情動
安心


ポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)では、自律神経系を交感神経系・背側迷走神経複合体・腹側迷走神経複合体の3つに分類している。


防衛反応とホメオスタシス

防衛反応ホメオスタシス(恒常性)は相互に関係している。

例えば、交感神経系やアドレナリンの作用によって、防衛反応が引き起こされることも、広義のホメオスタシス(恒常性)だと言える。

逆に、免疫系によって、細菌やウイルスなどに対する防衛反応が絶えず生体内で行われている。


ホメオスタシスと情動

アメリカのアントニオ・ダマシオは、「情動はホメオスタシス調節の一部である」と言っている。

つまり、ヒトは適切に防衛反応などの行動を行うために、情動を必要としているのである。

情動を感じるのは、ホメオスタシス(恒常性)の生理的信号によるものかもしれない。



参考


関連する心理学用語

防衛反射

防衛機制(防衛規制の種類と一覧)

定位反応(定位反射)

闘争・逃走反応(fight-or-flight response)

凍結反応・凍りつき反応(freeze response)

行動主義

新行動主義

ポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)

自律神経系

外受容感覚と内受容感覚(身体感覚)

ホメオスタシス(恒常性)

ストレスとトラウマ(心的外傷)

マインドフルネス


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