闘争・逃走反応(fight-or-flight response)とは
アメリカのウォルター・B・キャノンがホメオスタシス(恒常性)の中で提唱した防衛反応の一種。
闘争・逃走反応(fight-or-flight response)はストレス反応として捉えることができ、不安や恐怖、交感神経系の興奮などの心理的・生理的な反応が生じる。
「闘うか逃げるか反応」とも呼ぶ。
短期的なストレスに対する反応としては正常だが、継続的なストレスに晒されたり、過剰反応するようになると、過緊張や強迫行為などにつながる恐れがあるため、ストレスが取り除かれたあとは冷静さを取り戻す必要がある。
そのためには、身体的安全性や心理的安全性の感じられる環境(居場所・安全基地)を確保した上で、安全であることを身体感覚(内受容感覚)で感じ取れるように支援する。
ポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)
トラウマケアなどに用いられるポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)でも、自律神経系の一種である交感神経系が闘争・逃走反応(fight-or-flight response)を司るとする。
同じく自律神経系の一種である腹側迷走神経複合体が、交感神経系を調節することで、ストレスに対する闘争・逃走反応を静め、過緊張や強迫行為などが続くことを防止する。
以下の表は、ポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)の観点で、代表的な防衛反応をまとめたもの。
防衛反応 | 自律神経系 | 働き | 備考 |
---|---|---|---|
定位反応 定位反射 (orienting response) | 背側迷走神経複合体 (dorsal vagal complex) (無髄の迷走神経) | 不動 反射的 | 驚き 驚愕 |
凍結反応 凍りつき反応 すくみ反応 (freeze response) | 背側迷走神経複合体 (dorsal vagal complex) (無髄の迷走神経) | 不動 反射的 | 解離 仮死 |
逃走反応 (flight response) | 交感神経系 (sympathetic nervous system) | 可動 強迫的 | 恐怖 不安 |
闘争反応 (fight response) | 交感神経系 (sympathetic nervous system) | 可動 強迫的 | 怒り 抑圧 |
注意反応 持続的注意反応 (attention response) | 腹側迷走神経複合体 (ventral vagal complex) (有髄の迷走神経) | 律動 意図的 | 切替 分散 |
社会的関与 社会的交流 (social engagement) | 腹側迷走神経複合体 (ventral vagal complex) (有髄の迷走神経) | 律動 意図的 | 情動 安心 |
参考
関連する心理学用語
新行動主義
S-O-R理論
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