猫にくわえられたネズミとは
防衛反応の一種である凍結反応・凍りつき反応(freeze response)やトラウマの説明に用いられるメタファー(例え話)。
ネズミは天敵に捕われるなどの生命の危機に瀕して、不動状態になる。これは、無理に可動して闘争・逃走反応(fight-or-flight response)を起こしてしまうと、さらに傷つけられてしまう可能性が高いため、生命維持のために合理的な反応である。
もし犬などの天敵に見つかれば、猫はネズミを離して身軽になって逃げようとするはずだから、その可能性にかけてトドメを刺されないように失神して死んだふりをした方がいい。
ただし、実際に安全な状態になったにも関わらず、いつまでも失神や死んだふりをしているのは逆に危険である。
以下の図は、猫にくわえられたネズミのメタファーを説明する際に用いる画像の例。
この画像を見て、「やり返せばいいのに」とか、「逃げ出せばいいのに」と言う人は少ないだろう。
もし「もっと自分のことを自覚したほうがいい」と言う人がいたとしても、生命の危機に瀕した状況では、生命維持装置が働いて感覚が麻痺するのは自然なことである。
トラウマケアなどに用いられるポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)では、自律神経系の一種である背側迷走神経複合体(背側迷走神経系)が凍結反応・凍りつき反応(freeze response)を司るとする。
同じく自律神経系の一種である腹側迷走神経複合体が、背側迷走神経複合体を調節することで、ストレスに対する凍結反応を静め、解離や仮死(シャットダウン)、フラッシュバックなどが起こることを防止する。
そのためには、身体的安全性や心理的安全性の感じられる環境(居場所・安全基地)を確保した上で、安全であることを身体感覚(内受容感覚)で感じ取れるように支援する。
凍結反応・凍りつき反応(freeze response)のメタファー(例え話)としては、首を引っ込めたカメ(甲羅に閉じこもったカメ)も用いられる。
窮鼠猫を噛む(闘争反応)
防衛反応の一種である闘争反応(fight response)の説明に用いられるメタファー(例え話)。
同じく防衛反応の一種である逃走反応(flight response)を制限され、絶体絶命の窮地に陥れば、捕まらないためにネズミでさえ猫に逆襲することがある。
脱兎のごとく(逃走反応)
防衛反応の一種である逃走反応(flight response)の説明に用いられるメタファー(例え話)。
同じく防衛反応の一種である闘争反応(fight response)が無理であれば、捕まる前に一目散に逃げ出すのが合理的である。
参考
関連する心理学用語
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
闘争・逃走反応(fight-or-flight response)
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