行動主義とは
客観的な行動を研究対象とし、外部からの観察を重視する立場。
意識内容を研究対象とし、内観(自己観察)を重視する内観主義・意識主義に対して、アメリカのジョン・ワトソンが提唱した。
ジョン・ワトソンは、刺激(Stimulus)と反応(Response)の関係(S-R結合・S-R連合)を解き明かそうとした。
このような考え方をS-R理論、その心理学をS-R心理学と呼び、ロシアのイワン・パブロフ(パヴロフ)の条件反射の研究も参考にされている。
当初の行動主義心理学は、心や意識など中枢的な内的過程よりも、筋肉の動きや腺の分泌など末梢的な条件反射が研究の中心であった。
そのため、「意識なき心理学」、「心なき心理学」などとも言われた。
この問題は、のちにトールマン、ハルらの新行動主義、スキナーの徹底的行動主義へと発展していく。(ジョン・ワトソンの行動主義を他の行動主義と比較して、古典的行動主義と呼ぶ。)
レスポンデント条件づけ・古典的条件づけ
イワン・パブロフ(パヴロフ)は、レスポンデント条件づけ・古典的条件づけについて、パブロフの犬(パヴロフの犬)の実験を行った。
犬にベルの音を聞かせながら餌を与えることを繰り返すと、餌を与えなくてもベルの音を鳴らすだけで犬がヨダレをたらすようになる。
ジョン・ワトソンも、レスポンデント条件づけ・古典的条件づけについて、アルバート坊やの実験を行った。
1歳に満たないアルバート坊やに白ネズミ(ラット)を見せて、背後で金属の棒を金づちで叩いて大きな音を出すことを繰り返すと、白ネズミ(ラット)を見ただけで泣き出すようになる。(恐怖条件づけ)
レスポンデント条件づけ・古典的条件づけは、筋肉の動きや腺の分泌など末梢的な条件反射の学習で、刺激-反応の関係(S-R結合・S-R連合)だけでほぼ説明できる。(S-R理論)
オペラント条件づけ・道具的条件づけ
エドワード・ソーンダイクは、試行錯誤説について、猫の問題箱の実験を行った。(オペラント条件づけ・道具的条件づけ)
空腹の猫を問題箱(紐を引くなどすると脱出できる)に閉じ込めて外に餌を置き、試行錯誤によって偶然脱出できることを繰り返すと、次第に脱出成功までの時間が短くなっていく。(試行錯誤学習)
アメリカのバラス・スキナーは、オペラント条件づけ・道具的条件づけについて、スキナー箱の実験を行った。
空腹のネズミをスキナー箱(レバーを押すと餌が出る)に閉じ込めておき、偶然レバーを押して餌を得ると、次第にレバーを押す行動が増える。
また、空腹のハトをスキナー箱(キイをつつくと餌が出る)に閉じ込めておき、偶然キイ(円形の発光板)をつついて餌を得ると、次第にキイをつつく行動が増える。
それに対し、オペラント条件づけ・道具的条件づけは、自発的に行動する中枢的な内的過程(心や意識など)を考慮する必要が出てくる。
以下の図は、行動主義(古典的行動主義)を提唱したジョン・ワトソン。
参考
関連する心理学用語
S-R結合(S-R連合)
S-R理論(S-R説)
S-R心理学
新行動主義
徹底的行動主義
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