自己奉仕バイアス(セルフ・サービング・バイアス)とは
良い出来事は自分の内的な特性に、悪い出来事は外的な状況に原因を求める心理的傾向のこと。
わかりやすくいうと、「成功は自分のおかげ、失敗は周りのせい」ということである。
ただし、欧米では顕著に見られる傾向だが、アジアでは逆の傾向が見られるとの報告もある。
出来事や行動の原因を、どこかに求める心理的傾向を帰属バイアスと呼ぶ。
自己奉仕バイアス(セルフ・サービング・バイアス)は、認知バイアス(帰属バイアス)の一種である。
自己奉仕バイアス(セルフ・サービング・バイアス)の具体例
例えば、仕事がうまくいったとき、自分の能力が高かったからだと考える。
一方で、仕事がうまくいかなかったとき、上司や部下に恵まれなかったからだとか、運が悪かったからだと考える。
これは、自己肯定感(自尊心・自尊感情)を守ることで、動機づけ(モチベーション・やる気)を高めるためとも考えられる。
成功体験に固執する人と外部環境のせいにする人
良い出来事は自分の内的な特性(能力)のおかげだと思うことは、一度成功した成功体験を継続することに効果がある。
ただし、状況(環境)の変化についていけなくなる恐れがあり、悪くすると成功体験への固執につながる。
悪い出来事は外的な状況(環境)のせいだと思うことは、人生の挫折体験を克服することに効果がある。
例えば、失業した人が、自分の能力のせいだと考えてしまうと、再就職に向けた動機づけ(モチベーション・やる気)が生まれづらい。
一方で、会社の業績悪化や方針変更のせいだと考えられると、再就職に向けた動機づけ(モチベーション・やる気)が高まりやすい。
自己奉仕バイアス(セルフ・サービング・バイアス)への対策
自己奉仕バイアス(セルフ・サービング・バイアス)などの認知バイアスに対処するために、企業などでは批判的思考(クリティカル・シンキング)が取り入れられている。
また、そもそも自身の自己奉仕バイアス(セルフ・サービング・バイアス)の存在に気づくためには、自分の認知バイアスに気づくメタ認知が必要となる。
そのため、メタ認知を鍛えることなどを目的に、マインドフルネスを訓練することが広まっている。
参考
関連する心理学用語
認知心理学
認知バイアス
正常性バイアス
アンカリング(アンカリング効果)
自制心(セルフコントロール能力)
衝動性
意思決定
コミュニケーション
第三世代の認知行動療法
マインドフルネス
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