対応バイアス(基本的帰属錯誤)とは
外的な状況を無視して、人の内的な特性に原因を求める心理的傾向のこと。
指示(命令)されて行動した人に対しても、その人が本来やりたかったからだと考えてしまう。
「基本的帰属の誤り」、「基本的帰属誤謬」、「基本的帰属エラー」、「基本的帰属バイアス」、「根本的帰属錯誤」、「根本的帰属の誤り」、「根本的帰属誤謬」、「根本的帰属エラー」、「根本的帰属バイアス」などとも呼ぶ。
出来事や行動の原因を、どこかに求める心理的傾向を帰属バイアスと呼ぶ。
対応バイアス(基本的帰属錯誤)は、認知バイアス(帰属バイアス)の一種である。
例えば、くじ引きで3人が出題者、回答者、観察者にわかれて、出題者が自由にクイズを出し、回答者が回答する。
その後、出題者と回答者の知能レベルをそれぞれ評価してもらう。
すると、出題者のほうが物知りだと判断されることが多い。
出題者は自分の知識から自由にクイズを出せるので、必ず正解を知っているし、回答者が全問正解できるはずもない。
しかし、その状況は考慮されずに、あたかも個人の特性(能力)が原因だと評価されてしまうわけである。
これは、自分が回答者だったときにも見られる傾向で、たとえ与えられた役割であっても、出題者のほうが物知りで、回答者の自分は物知りではないと評価してしまう。
対応バイアス(基本的帰属錯誤)の具体例
このほかにも、日常生活の中で対応バイアス(基本的帰属錯誤)は起こりうる。
例えば、仕事に遅刻した人がいたとき、その人がだらしないせいだと思う人が多い。
実際には、電車の遅延など、仕方がない原因があったとしてもである。
この対応バイアス(基本的帰属錯誤)による不当な評価を多少回避するために、5分前行動などが行われている。
例えば、電車の優先席に若者が座っていたとき、その人はルールやマナーを守らない人だと思う人が多い。
実際には、その若者は妊娠している可能性がある。あるいは、障害を抱えている可能性もある。
この対応バイアス(基本的帰属錯誤)による不当な評価を回避するために、マタニティマークやヘルプマークが作られている。
対応バイアス(基本的帰属錯誤)と行為者-観察者バイアス
対応バイアス(基本的帰属錯誤)は、人に起こった出来事はその人の性格や能力のせいにする傾向である。
これに対して、行為者-観察者バイアスは、自分に起こった出来事は状況のせいにする傾向である。
例えば、自分が仕事に遅刻したとき、自分のせいにするのではなく、なんらかの外的状況のせいにする人が多い。
例えば、自分が電車の優先席に座るとき、自分に思いやりがないのではなく、疲れているなどの自分の状況から考える人が多い。
公正世界仮説(公正世界信念)
対応バイアス(基本的帰属錯誤)は、公正世界仮説(公正世界信念)によって説明される。
公正世界仮説(公正世界信念)とは、悪い人には悪いことが起こり、良い人には良いことが起こる、という考え方である。
対応バイアス(認知バイアス)への対策
対応バイアス(基本的帰属錯誤)などの認知バイアスに対処するために、企業などでは批判的思考(クリティカル・シンキング)が取り入れられている。
また、そもそも自身の対応バイアス(基本的帰属錯誤)の存在に気づくためには、自分の認知バイアスに気づくメタ認知が必要となる。
そのため、メタ認知を鍛えることなどを目的に、マインドフルネスを訓練することが広まっている。
参考
関連する心理学用語
認知心理学
認知バイアス
正常性バイアス
アンカリング(アンカリング効果)
自制心(セルフコントロール能力)
衝動性
意思決定
コミュニケーション
第三世代の認知行動療法
マインドフルネス
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