シェマ(スキーマ)とは
周囲の世界を把握するための認知的な枠組みであり、認知するための設計図になるもの。
人は、多くの知識を一般化したシェマ(スキーマ)を通して、世界を認知していることになる。
シェマ(スキーマ)は、経験や環境を意味づけるための枠組みであり、発達によって変化していく。
世界に適応するためにシェマ(スキーマ)を修正する調節や、シェマ(スキーマ)を世界に適用する同化を行う。
スキーマとシェマの違い
認知心理学ではスキーマ(schema)と言うが、発達心理学ではフランス語でシェマ(schema)と言うことが多い。
これは、認知心理学の観点でスキーマを研究したのがイギリスのフレデリック・バートレットだったのに対し、発達心理学の観点でシェマを研究したのがスイス(フランス語圏)のジャン・ピアジェだったためである。
発達心理学におけるシェマ(スキーマ)
乳児は、身体を動かしながら、母乳を「吸う」などの感覚運動的なシェマ(スキーマ)を形成する。
この「吸う」というシェマ(スキーマ)は、母乳以外の飲み物やストローで吸うことにも応用が可能である。
これらの感覚運動を繰り返すことで、次第に「吸う」というシェマ(スキーマ)がイメージとして内在化され、認知の枠組みとなっていく。
シェマ(スキーマ)を世界に適用するのは同化であるが、同時に、シェマ(スキーマ)を世界に合わせて修正する調節(調整)を行う必要がある。
- 同化・・・シェマを世界に適用すること
- 調節(調整)・・・シェマを世界に合わせて修正すること
「吸う」というシェマ(スキーマ)を応用するのは同化だが、「吸う」で対応できない固形物などには、「噛む」という新たなシェマ(スキーマ)を生むように調節(調整)していく。
このように同化と調節(調整)を繰り返しながら、次第に均衡化されていき、その人の信念や価値観などに育っていく。
認知の歪みやイラショナル・ビリーフ(非合理的な信念)などを取り扱うカウンセリングでは、クライエントの同化を尊重しながらも、調節を促していくことになる。
ジャン・ピアジェは、シェマ(スキーマ)の発達を発達段階説(認知発達段階説)としてまとめた。
参考
関連する心理学用語
認知心理学
認知行動療法(CBT)
認知療法
スキーマ療法
認知の歪み
イラショナル・ビリーフ(非合理的な信念)
自動思考
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