損失回避バイアス(損失回避の法則)とは
報酬よりも損失のほうを大きく評価する心理的傾向のこと。
場合によっては、報酬よりも損失のほうが、2倍以上も大きく感じる。
「損失回避性」とも呼ぶ。
損失回避バイアス(損失回避の法則)は、認知バイアスの一種である。
損失回避バイアス(損失回避の法則)の具体例
例えば、コイントスで、以下のようなゲームを行うとする。
- 表面が出たら、30万円をもらえる
- 裏面が出たら、20万円を支払う
この場合、平均的な損得勘定では明らかにお得なゲームになっているが、報酬(30万円)よりも損失(20万円)が大きく感じて、ゲームに参加しない人が多い。
損失回避バイアス(損失回避の法則)と関連するもの
損失回避バイアス(損失回避の法則)によって、現状維持バイアスやサンクコスト(サンクコスト効果)、保有効果やデフォルト効果などが説明される。
損失回避バイアス(損失回避の法則)などによって、フレーミング効果が説明される。
損失回避バイアス(損失回避の法則)と似た考え方に、符号効果がある。
損失回避バイアス(損失回避の法則)の応用例
損失回避バイアス(損失回避の法則)は、マーケティングや広告、価格設定(プライシング)などで、ビジネスでもよく活用されている。
例えば、旅行などの予約サイトでは、残席数や残部屋数を強調したり、何人が閲覧したか表示することで、予約できなくなる損失を想像させて、予約・購入を急がせようとする。
例えば、既存契約の解約違約金を負担するなどして、他社からの乗り換えを促す。
また、アンカリング(アンカリング効果)によって、損失を演出することもできる。
例えば、値引きが一般的な商品サービスでは、定価のままでは損に感じるので購入しないが、定価より値引きすれば、よく売れる。
定価が基準値(アンカー)の役割になって、そことの差で判断されるためである。
損失回避バイアス(損失回避の法則)への対策
損失回避バイアス(損失回避の法則)などの認知バイアスに対処するために、企業などでは批判的思考(クリティカル・シンキング)が取り入れられている。
また、そもそも自身の損失回避バイアス(損失回避の法則)の存在に気づくためには、自分の認知バイアスに気づくメタ認知が必要となる。
そのため、メタ認知を鍛えることなどを目的に、マインドフルネスを訓練することが広まっている。
参考
関連する心理学用語
プロスペクト理論
認知心理学
行動経済学
認知バイアス
正常性バイアス
アンカリング(アンカリング効果)
自制心(セルフコントロール能力)
衝動性
意思決定
第三世代の認知行動療法
マインドフルネス
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