行為者-観察者バイアスとは
他人の行動はその人の内的な特性に、自分の行動は外的な状況に原因を求める心理的傾向のこと。
他人に起こった出来事はその人の性格や能力のせいにするのに、自分に起こった出来事は状況のせいにしてしまいやすい。
わかりやすくいうと、「他人には厳しく、自分には甘く」ということである。
ただし、行為者-観察者バイアスは、そこまで強いものではないらしい。
出来事や行動の原因を、どこかに求める心理的傾向を帰属バイアスと呼ぶ。
行為者-観察者バイアスは、認知バイアス(帰属バイアス)の一種である。
行為者-観察者バイアスの具体例
例えば、他人が仕事に遅刻したとき、その人がだらしないせいだと思う人が多い。
一方で、自分が仕事に遅刻したとき、自分のせいにするのではなく、なんらかの外的状況のせいにする人が多い。
これは、電車の遅延などが起こったことなどを、自分ならよく知っているからである。
このように、行為者(自分)と観察者(他人)によって情報量に差が生じてしまうことが、行為者-観察者バイアスの一因である。
観察者は、行為者の行動から得られるわずかな情報から推測するしかないが、得られていない情報があることを念頭に置く必要がある。
例えば、他人が電車の優先席に座っていたとき、その人はルールやマナーを守らない人だと思う人が多い。
一方で、自分が電車の優先席に座るとき、自分に思いやりがないのではなく、疲れているなどの自分の状況から考える人が多い。
このように、行為者(自分)は、自分の視点から判断しがちである。
観察者は、行為者と別の人を対比しながら観察することができるため、状況よりも人の違い(特性)に注目してしまう。
観察者には、人との比較だけでなく、その人の状況を想像する共感能力が必要となってくる。
行為者-観察者バイアスと対応バイアス(基本的帰属錯誤)
行為者-観察者バイアスは、自分に起こった出来事は状況のせいにする傾向である。
それに対して、対応バイアス(基本的帰属錯誤)は、人に起こった出来事はその人の性格や能力のせいにする傾向である。
行為者-観察者バイアス(認知バイアス)への対策
行為者-観察者バイアスなどの認知バイアスに対処するために、企業などでは批判的思考(クリティカル・シンキング)が取り入れられている。
また、そもそも自身の行為者-観察者バイアスの存在に気づくためには、自分の認知バイアスに気づくメタ認知が必要となる。
そのため、メタ認知を鍛えることなどを目的に、マインドフルネスを訓練することが広まっている。
参考
関連する心理学用語
認知心理学
認知バイアス
正常性バイアス
アンカリング(アンカリング効果)
自制心(セルフコントロール能力)
衝動性
意思決定
コミュニケーション
第三世代の認知行動療法
マインドフルネス
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