確証バイアスとは
自分が立てた仮説に対して、自分の誤りを証明すること(反証)よりも、自分の正しさを証明すること(確証)を好む心理的傾向のこと。
人は、自分にとって都合のいい情報ばかりを無意識に集め、間違いだと立証する情報は目に入らなくなる(視野が狭くなる)。
わかりやすくいうと、確証バイアスは一種の「決めつけ」である。
確証バイアスは、認知バイアスの一種である。
実際には、自分の正しさを証明する証拠をたくさん集めたところで、あまり意味がない。
例えば、「鳥は飛ぶ」ことを証明しようとするならば、「カラスが飛ぶ」ことや「ハトが飛ぶ」ことをいくら挙げてもあまり意味がない。
「ペンギンは飛ばない」ことを突きつけられれば、鳥の種類によっては飛ばないことが容易に証明されてしまう。
「ヒヨコは飛ばない」ことを突きつけられれば、鳥であっても生まれたばかりの鳥は飛ばないことが容易に証明されてしまう。
ウェイソン選択課題(4枚カード問題)
確証バイアスは、ウェイソン選択課題(4枚カード問題)を参考にするとわかりやすい。
以下の画像のように、4枚のカードがテーブルに置かれている。
カードには、それぞれ片面には数字が書かれ、もう片面には赤色か茶色が塗られている。
「カードの片面が偶数ならば、その裏面は赤色である」ことを証明するには、どの2枚のカードをひっくり返せばよいだろうか。
この問題の正解は、「8(偶数)」と「茶色」だが、多くの人は直感的に「8(偶数)」と「赤色」と答える。
「カードの片面が偶数ならば、その裏面は赤色である」ことの正しさを証明する確証情報を集めようとする。(確証バイアス)
実際には、「カードの片面が偶数ならば、その裏面は赤色である」ことの誤りを証明する反証情報「カードの片面が偶数、かつ、その裏面は茶色である(赤色でない)」がないかを確認する必要がある。
そのため、「8(偶数)」と「茶色」をひっくり返すのが正解となる。
確証バイアスの応用例
交渉やマーケティング、プレゼンテーションや評価では、自分の正しさを証明する証拠を列挙することで、相手の確証バイアスを揺さぶって、自分の仮説を信じさせることがよく行われている。
例えば、マーケティングでは、「この商品サービスで、こんな好評をいただいています!」などのようにお客様の声を列挙する。
一方で、悪い口コミ・情報についてはアピールされないため、実際には酷評されていることも全然ありうるが、評判がよいと錯覚してしまうのである。
例えば、人事評価では、評価する側は、自分の第一印象や先入観に従って、その証拠を集めてしまう。
優秀だと思った部下には良いところを、ダメだと思った部下には悪いところを探してしまうのである。
一方で、実際にはプロセスや成果で評価されるべきであり、評価者は確証バイアスを意識して評価することが求められる。
確証バイアス(認知バイアス)への対策
確証バイアスなどの認知バイアスに対処するために、企業などでは批判的思考(クリティカル・シンキング)が取り入れられている。
また、そもそも自身の確証バイアスの存在に気づくためには、自分の認知バイアスに気づくメタ認知が必要となる。
そのため、メタ認知を鍛えることなどを目的に、マインドフルネスを訓練することが広まっている。
参考
関連する心理学用語
認知心理学
認知バイアス
正常性バイアス
アンカリング(アンカリング効果)
自制心(セルフコントロール能力)
衝動性
意思決定
第三世代の認知行動療法
マインドフルネス
コメント