外受容感覚と内受容感覚(身体感覚)

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外受容感覚と内受容感覚(身体感覚)とは

生体外を意識する身体感覚(身体反応)に対して、生体内を意識する身体感覚(身体反応)を比較・分類したもの。

外受容感覚は、ヒトでは五感に当たり、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚からなる。

内受容感覚(身体感覚)は、狭義では内臓感覚だけだが、広義では姿勢や温かさなどを含めた自己感覚であるとされ、第六の感覚(第六感)と呼ぶこともある。

第三世代の認知行動療法である弁証法的行動療法(DBT)では、直感賢明な心は内臓感覚からくるものとして表現される。


以下の表は、外受容感覚内受容感覚について代表的なものをまとめたもの。

大分類中分類小分類概要備考
外受容感覚特殊感覚視覚遠隔受容感覚
(電磁波)
視覚優位の代表はヒト(昼行性)
外受容感覚特殊感覚聴覚遠隔受容感覚
(振動)
聴覚優位の代表はトリ
外受容感覚特殊感覚嗅覚化学受容感覚嗅覚優位の代表はヘビ(夜行性)
外受容感覚特殊感覚味覚化学受容感覚
外受容感覚体性感覚
(皮膚感覚)
触覚
圧覚
機械受容感覚
内受容感覚体性感覚
(皮膚感覚)
温覚
冷覚
温度受容感覚
内受容感覚体性感覚
(皮膚感覚)
痛覚侵害受容感覚
内受容感覚体性感覚
(深部感覚)
運動感覚
(固有受容感覚)
機械受容感覚
(自己受容感覚)
筋骨格
内受容感覚特殊感覚前庭感覚
(平衡感覚)
機械受容感覚
(自己受容感覚)
内受容感覚内臓感覚臓器感覚内受容感覚(狭義)交感神経系と副交感神経系による二重支配
内受容感覚内臓感覚内臓痛覚内受容感覚(狭義)直感・賢明な心
(弁証法的行動療法:DBT)


狭義の内受容感覚である内臓感覚は、主に自律神経系の二重支配による内臓のホメオスタシス(恒常性)の状態を意識するためのものだとされる。

一方で、広義の内受容感覚も広い意味で自律神経系などによる全身のホメオスタシス(恒常性)に関与している。


刺激(弁別刺激)や文脈に、五感による外受容感覚だけでなく、内受容感覚を統合することによって、主観的な感情反応や気分などが生み出されると考えることができる。

この考え方は、ポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)を応用した身体志向の心理療法に用いられる。


生体外の刺激(外受容感覚)ではなく、生体内の刺激(内受容感覚)によって起こるレスポンデント条件づけ・古典的条件づけに、内部感覚条件づけがある。


トラウマ(心的外傷)を受けた人が、自分の身体感覚(内臓感覚などの内受容感覚)の意味を、自分で理解できない状態になることを失感情症(アレキシサイミア)と呼ぶ。


マインドフルネスでは、身体感覚に注意を向けることで、自律神経系の状態や自分の感情反応・気分などに気づく「注意のトレーニング」となる。

ここでいう身体感覚とは、五感などの外受容感覚ではなく、内臓感覚などの内受容感覚のことである。


内受容感覚のメタファー

内受容感覚を意識するためのメタファー(ことわざ)は数多く存在するが、ここでは代表的なものを記載する。


  • 胸に手を当てる(胸に手を置く)

頭で考えるだけでなく、胸の身体感覚(身体反応)で考えることが重要である。

  • 腹落ちする

頭で納得するよりも、腹の身体感覚(身体反応)で納得することが重要である。

  • 耳が痛い

正しいことを言われても、耳が身体感覚(身体反応)で拒絶してしまう。

  • 目は口ほどに物を言う

言葉よりも、目に本心としての身体反応(身体感覚)が表れてしまう。


参考


関連する心理学用語

ポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)

自律神経系

ホメオスタシス(恒常性)

ストレスとトラウマ(心的外傷)

失感情症(アレキシサイミア)

離人症(離人症性障害)

内部感覚条件づけ

防衛反応

行動主義

内部感覚条件づけ

新行動主義

S-O-R理論

第三世代の認知行動療法

マインドフルネス

弁証法的行動療法(DBT)


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