安全行動(安全確保行動)とは
不安や恐怖などから安全を確保するために行われる行動のこと。短期的には不安を解消することができるが、長期的には不安が増大して逆効果となる。
社交不安障害(社交恐怖・対人恐怖症)や全般性不安障害、パニック障害や広場恐怖症、特定の恐怖症(高所、動物、閉所、嘔吐など)などの不安障害(不安症)や強迫性障害(強迫神経症)などで行われる。
安全行動(安全確保行動)は、学習理論における回避行動・逃避行動であり、強迫性障害(強迫神経症)における強迫行為・儀式行為である。
外的活動(行為)だけでなく、内的活動(注意)も含まれるため、意識をそらしたり、別のことを考えたりすること(気そらし)も安全行動(安全確保行動)となる。
例えば、不安に伴って生じる心臓の鼓動などの感覚、動悸などの症状そのものを恐れ、注意をそらすようになると、どんどん不安がエスカレートして行ってパニック発作などにつながることがある。
このような現象を、森田療法では精神交互作用と呼ぶ。
生体外の刺激(外受容感覚)ではなく、生体内の刺激(内受容感覚)によって起こるレスポンデント条件づけ・古典的条件づけである内部感覚条件づけによって説明される。
内部感覚条件づけには、通常の暴露(エクスポージャー)は困難なため、マインドフルネスによる身体感覚への注意のトレーニングを行う。(内部感覚エクスポージャー)
不安に対する暴露と第三世代の認知行動療法
不安障害(不安症)は、レスポンデント条件づけ・古典的条件づけ(恐怖条件づけ)によって発生して(発生要因)、オペラント条件づけ・道具的条件づけの負の強化(回避学習・逃避学習)で維持される(維持要因)。
暴露療法(エクスポージャー法)の一種で、安全行動(安全確保行動)を妨害する暴露反応妨害法(ERP)が有効だが、いかに暴露(エクスポージャー)させるかが問題となる。
第三世代の認知行動療法では、正常な防衛反応・ストレス反応である不安がなくなることはないため、不安をコントロールしようとするのではなく、いかに不安と付き合いながら、自分の人生を歩んでいくのかが強調される。
安全行動(安全確保行動)は、短期的な利益(不安の解消)を得られる維持要因となっているため、現在バイアスに逆らって、長期的な利益(自分の人生)を得ようとする動きが必要となる。
第三世代の認知行動療法であるACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)では、安全行動(安全確保行動)と似た概念を体験の回避と呼ぶ。
安全行動(安全確保行動)は特定の体験が対象だが、体験の回避はあらゆる体験が回避の対象となる。
参考
関連する心理学用語
パニック障害
不安障害(不安症)
強迫性障害(強迫神経症)
闘争・逃走反応(fight-or-flight response)
行動療法
認知行動療法
第三世代の認知行動療法
マインドフルネス
ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)
体験の回避
森田療法
精神交互作用
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