ガルシア効果・味覚嫌悪学習(味覚嫌悪条件づけ)とは
食べ物を食べたあとに体調不良(腹痛、吐き気、嘔吐など)を経験すると、同じ食べ物を食べようとしたときに嫌悪感が出て食べられない現象。
好き嫌いや偏食の原因となる。
危険な食べ物を避ける生存本能だと考えられるが、通常の条件づけ学習とは異なる点があげられる。
- たった一度の経験(試行)でも学習されてしまう。
- 味覚と消化器官など特定の刺激と反応の組み合わせで起こりやすい。
- 刺激(味覚)と反応(体調不良)の間隔が数時間離れていても学習が成立する。
- 消去抵抗がかなり高く、いつまでも学習が残ってしまう。
このため、特殊なレスポンデント条件づけ・古典的条件づけだと考えられてきたが、ポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)では、背側迷走神経複合体(背側迷走神経系)による凍結反応・凍りつき反応(トラウマ反応)だとされる。
継続的な試行によって学習されるストレスと、一回の反応によって学習されるトラウマの違いである。
ガルシア効果・味覚嫌悪学習(味覚嫌悪条件づけ)を応用して、アルコール依存症に対する嫌悪療法として用いられる。
嫌酒剤を飲むことで、飲酒すると吐き気など気持ち悪くなり、お酒に嫌悪感を示すようになり、禁酒や断酒が容易となる。
ガルシア効果としては、凍結反応・凍りつき反応(freeze response)やトラウマを説明するメタファー(例え話)としても用いられる。
味覚嫌悪刺激(味覚嫌悪条件づけ)を発見したジョン・ガルシアは、ラットの飲み水を甘味料で甘くした状態で、放射線照射を行ってラットに体調不良を経験させた。すると、ラットは好んで飲むはずの甘い飲み水をほとんど飲まなくなった。
トラウマを経験すると、甘い飲み水でさえ嫌悪感の対象となる。栄養満点でも食中毒に当たりやすい貝類などはいい例である。
参考
関連する心理学用語
嫌悪療法
凍結反応・凍りつき反応(freeze response)
新行動主義
S-O-R理論
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