自律神経失調症は、ホメオスターシス(恒常性)を失った状態

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自律神経失調症は、未病・不定愁訴の代表的な診断名

原因不明の未病・不定愁訴で代表的なものに『自律神経失調症』があります。体の調子が悪く、その原因がわからないときにこの診断を受けますが、原因がわからないという診断なので、診断を受けても治療されないことも多いと聞きます。

そういうときは、「疲れてたら休め」とか、「生活習慣を改善しろ」とか言われるのですが、これは本当に大事なことなのですが、すぐに治るようなことがないのが困ったことです。

内臓などの検査をしても異常はないのに、本人には自覚症状があるのですから、不安ばかりがつのります。精神科や心療内科でも自律神経失調症と診断されることがありますが、特に自律神経を治してはくれません。

自律神経とは、人間のホメオスターシス(恒常性)を司るもの

そもそも自律神経とは何でしょうか。

人の神経系は、その機能的特性から体性神経系と自律神経系に分けられます。

体性神経系は、感覚神経と運動神経に分けられ、五感の刺激を脳などの中枢神経に伝える神経で、運動神経は中枢神経系から筋肉や骨格に刺激を伝える神経です。

自律神経は、交感神経系副交感神経系に分けられ、ほとんどの臓器は両者に二重支配を受けており、両者はお互いに拮抗することで機能しています。交感神経が優位になれば、副交感神経が優位になろうと頑張り、逆に副交感神経が優位になれば、交感神経が優位になろうと頑張る、っといった感じです。

それによって、心臓などの臓器を動かしたり(心拍)、暑くなったら汗で体を冷やしたり(体温調整)することができます。

このとき、交感神経系は心身の緊張に関連し、興奮系の情報伝達を行います副交感神経系は心身の弛緩(リラクゼーション)に関連し、やすらぎ休息するための情報伝達を行っています。

これはまさに、自律神経が人間が生きていくためのホメオスターシス(恒常性)を司っていると言えます。人間が生きていける心拍数や体温などを維持しているわけです。

自律神経は、人間がコントロールすることができないものです。意識とは無関係に機能しています。意識して念じても、心臓を止めたり、血流や発汗を止めたりすることはできませんよね。

唯一意識して止められる自律神経は『呼吸』です。だから、マインドフルネス瞑想や武道などのメンタルスポーツでは、自分の心身をコントロールするために呼吸法を学ぶんですね。

闘争・逃走反応(ファイト・オア・フライト反応)

生物学者のキャノンは、人間が生物の進化の中で、逃走・逃走反応(fight-or-flight response)を獲得したと説明しています。この場合、人間が野獣に襲われるような危機的なストレスに直面した場合、交感神経系が急激に活性化され、闘うか逃げるかの選択を迫られます。

交感神経系の興奮により、血圧が上昇し、脈拍や呼吸が早くなり、瞳孔が拡大し、筋肉の緊張、消化器系の抑制などの反応が起こります。心理的にも緊張や不安が起こります。

つまり、ストレスが強いときに、血圧や体温が不安定になったり、動悸や息切れが起きたり、目が充血したり、肩がこったり、吐き気がしたり、食欲がなくなったり、不安やイライラしたりするのは生物として正常な反応だということです。

これは闘争・逃走反応のために、一時的にですが、体があえてホメオスターシス(恒常性)を失っている状態です。しかし、あまりにも長期間に渡り慢性的なストレスに晒されることで、体のホメオスターシス(恒常性)が維持できなくなり、それが自律神経失調症となります。

体がホメオスターシス(恒常性)を失ったらどうなるか

体がホメオスターシス(恒常性)を失ったら、それは「生きるのがつらい」状態になります。なぜなら、体が生きようとしてくれないのですから。このため、心的外傷(トラウマ)を負ったり、心身が仮死状態に陥ります。

ホメオスターシス(恒常性)を司る自律神経に作用させるには、マインドフルネスなど呼吸法が参考になります。自律訓練法などもいいでしょう。しかし、ある程度の訓練や習慣化が求められます。

それまで待てないような場合は、まず心理的なストレスを除いてあげる必要があります。もちろん環境を変える方法もありますが、職場や家庭など簡単に環境は変えられないのが一般的です。

それ以外には、やはりカウンセリングなどの心理療法が参考になります。来談者中心療法などをきちんと訓練されたカウンセラーに話を聴いてもらうことで、心理的な安心感を得られ、胸に溜まったものを吐き出すことができればカタルシス効果を得ることができます。

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