複雑性PTSD(C-PTSD)とは
急性のトラウマ体験ではなく、慢性のトラウマ体験によって起こるPTSDのことを、複雑性PTSDと言います。
主に幼少期の虐待やネグレクト、機能不全家族などによって起こり、体の緊張や注意散漫などの不定愁訴を抱え、親密な人間関係を築くのが困難です。
ほぼ同じ概念で、「DESNOS」と呼ばれることもあります。
複雑性PTSDと発達性トラウマ障害の違いについて、発達性トラウマ障害は、複雑性PTSDに加えて、愛着障害が重なり合ったものだと言えます。
まず、PTSD(心的外傷後ストレス障害)には、以下の3症状があります。
- フラッシュバック・悪夢(トラウマの最体験)
- 回避・麻痺
- 過覚醒・過緊張
それに加えて、複雑性PTSDでは、以下の3症状が加わります。
- 気分変動(かんしゃく、イライラなど)
- 自己否定
- 対人関係障害
自傷行為や自殺念慮(自殺企図)などの自己破壊的行動が見られることから、境界性パーソナリティ障害(BPD)と診断されていることもあります。
また、アルコール依存症・乱用や摂食障害(拒食症、過食症)などが併発していることも多いです。
気分変動は、気分障害である双極性障害(双極症・躁うつ病)と見られる場合もあります。
時間感覚が混乱し、睡眠障害を引き起こす場合もありますし、頭痛や腰痛などの慢性疼痛に悩まされることもあります。
以下は、18歳未満における逆境的小児期体験(ACE)を測る質問表です。
- 十分な食事が与えられない、衣服が汚れている、あるいは守ってくれる人や世話してくれる人がいないと感じた。(ネグレクト)
- 離婚、育児放棄、死亡などの理由で、親をなくした。(親との離別)
- うつ病、精神疾患、自殺者未遂をした人と生活していたことがある。(家族の精神疾患)
- アルコール中毒や薬物中毒(処方薬を含む)を患っている人と生活していたことがある。(家族の中毒)
- 家にいる親や大人が、お互いに突き飛ばしたり、殴ったり、叩いたり、あるいは危害を加えたり、脅したりしたことがある。(家族の家庭内暴力)
- 収監された、あるいは実刑判決を受けた人と生活したことがある。(家族の犯罪者)
- 家にいる親や大人が、あなたを罵ったり、侮辱したり、けなしたことがある。(心理的虐待)
- 家にいある親や大人が、あなたを叩く、殴る、蹴るなどの肉体的な暴力を加えたことがある。(身体的虐待)
- 家族のだれからも愛されている、あるいは特別な存在だと思われたことがないと感じる。(愛着欠如)
- 自分が望まない性的接触(愛撫、性交など)を強制されたことがある。(性的虐待)
https://www.acesaware.org/wp-content/uploads/2020/06/ACE-Questionnaire-for-Adults-De-Identified-Japanese.pdf
この場合、従来の言葉だけのカウンセリングではなく、身体志向のトラウマケアを行うマインドフルネスカウンセリングがおすすめです。
身体の感覚と仲良くなるために、注意のトレーニングを行いながら、からだとこころを徐々につなげていきます。
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参考
関連する心理学用語
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
アルコール依存症
摂食障害
双極性障害(双極症・躁うつ病)
睡眠障害
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闘争・逃走反応(fight-or-flight response)
S-O-R理論
第三世代の認知行動療法
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