失感情症(アレキシサイミア)とは
トラウマ(心的外傷)を負った人が、自分の感情を認識したり、表現したりする能力を失うことを失感情症(アレキシサイミア)と言います。
これは、自分の身体感覚(内臓感覚などの内受容感覚)の意味を、自分で理解できない状態です。
感情や情動を麻痺させる解離症状の一種であるとされます。
自分でよくわからないまま身体に症状が出ることがあるため、心身症とも関連しています。
通常、感情は、その感情にふさわしい行動を引き起こします。
例えば、定位反射(おや何だ反射)は驚きと共に起こり、抱きつき反射(モロー反射)は驚愕と共に起こります。
例えば、不安・恐怖は動悸を引き起こし、逃避反応(回避行動・逃避行動)につながります。
例えば、怒りは頭に血が上り、闘争反応を引き起こします。
これらの感情を失うと、自分が何をやりたいのか、自分でもよくわからなくなります。
感情表現を失うと、代わりに身体的な問題として認識されることがあります。
原因不明のこりや痛み、胃腸の不調など、いわゆる不定愁訴と呼ばれるものです。
解離は、防衛反応の一種である凍結反応・凍りつき反応(freeze response)だと捉えられます。(ポリヴェーガル理論)
体の感覚が麻痺してしまうため、身体的安全性や心理的安全性の感じられる環境(居場所・安全基地)を確保した上で、安全であることを身体感覚で感じ取れるように支援する必要があります。
この場合、従来の言葉だけのカウンセリングではなく、身体志向のトラウマケアを行うマインドフルネスカウンセリングがおすすめです。
身体の感覚と仲良くなるために、注意のトレーニングを行いながら、からだとこころを徐々につなげていきます。
参考
関連する心理学用語
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
心身症
闘争・逃走反応(fight-or-flight response)
S-O-R理論
第三世代の認知行動療法
マインドフルネス
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