自閉症スペクトラム障害・自閉症スペクトラム症(ASD)とは
発達障害(神経発達症)の一種で、自閉症(自閉性障害)、アスペルガー症候群(AS)などの総称です。以前は広汎性発達障害に分類されていました。
スペクトラムとは連続体という意味で、グラデーションのようにさまざまなレベルの人が存在しているという意味です。
自閉症(自閉性障害)は、「古典的自閉症」とも呼ばれ、知能の遅れが見られる典型的な自閉症です。
アスペルガー症候群(AS)は、「高機能自閉症」とも呼ばれ、対人関係に障害を持ちますが、知的能力は高いのが特徴です。
男子には女子より多く見られるなど、遺伝的な要因が強いと考えられています
自閉症スペクトラム障害(ASD)では、ウィングの三つ組という3つの障害を持ちます。
- 社会性(社交性)の障害
- コミュニケーションの障害
- 想像力の障害
1つ目は、社会性(社交性)の障害であり、他人への関心が低く、アイコンタクトを避ける傾向があります。
これは、他者の視点との違いを理解するための心の理論に障害があると考えることができます。
このため、客観的な視点から自己を観察することができないため、アイデンティティ(自我同一性)の確立が困難です。
2つ目は、コミュニケーションの障害であり、話し言葉が欠けているかオウム返しなどのように独特で、タメ語や方言で話せないなどの特徴があります。
アスペルガー症候群(AS)の場合は、言語的な問題は見られませんが、空気が読めないなどの問題が出てきます。
3つ目は、想像力の障害であり、ものまねやごっこ遊びが苦手で、一人遊びや手をひらひらさせるなどの常同行動などが見られます。また、強いこだわりを示します。
アスペルガー症候群(AS)の場合は、特定の分野への強いこだわりから、社会的に成功している場合もあります。
聴覚過敏の傾向があることがわかっており、その場合は音楽療法などが併用されます。
聴覚過敏によって、集中力に欠けたり、疲れやすくなる場合があります。
感覚過敏があることから、トラウマを負いやす点が挙げられます。
そのため、PTSD(心的外傷後ストレス障害)や複雑性PTSD・発達性トラウマ障害などが併発していることも多いです。
また、同じく発達障害(神経発達症)であるADHD(注意欠陥・多動性障害)を併発していることも多いです。
遺伝的要因が強いため、カウンセリングでは過ごしやすい生活環境・仕事環境などを構築する環境調整を一緒に行っていきます。
ただし、カウンセリングでは、言語機能に問題ないアスペルガー症候群(AS)の方が対象となります。
問題が生じているシーン(状況)を話し合い、できそうなところから試行錯誤を繰り返します。
現代ではITツールを駆使することや新しい働き方なども考慮する必要があります。
参考
関連する心理学用語
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
アイデンティティ(自我同一性)
応用行動分析(ABA)
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