暴露療法(エクスポージャー法)

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暴露療法・曝露療法(エクスポージャー法・エクスポージャー療法)とは

不安・恐怖の生じる事象に対して、安全に配慮しながら直面させる技法。

心理療法としては、行動療法(レスポンデント)に分類される。

強迫性障害(OCD)や高所恐怖症・動物恐怖症・閉所恐怖症などの限局性恐怖症(特定の恐怖症)などに用いられる。

やっていることはレスポンデント条件づけ・古典的条件づけによる条件反射消去である。


広義では、系統的脱感作法、暴露反応妨害法、フラッディング法、インプロージョン法などの技法の総称。

狭義では、それらに分類されない暴露療法(エクスポージャー法)の一技法としての名称。

森田療法にも暴露の考え方(恐怖突入)があり、暴露療法(エクスポージャー法)と比較される。


以下の図は、セッション内で不安が消去(抑制)される様子(右肩下がり)に加えて、セッション間でも不安が消去(抑制)されている様子(全体として下がる)を表している。

短期的に不安・恐怖が強くなるが、時間の経過とともに抑えられることを経験することで過去の不安・恐怖体験が消去(抑制)されていく。

不安・恐怖が強い段階で暴露を中止すると、かえって不安・恐怖が強化されてしまうため、段階的に進めたり、イメージ暴露からはじめたり、事前の説明に時間をかけること(インフォームド・コンセント)などが必要となる。

https://www.researchgate.net/publication/303745455_Treatment_Manual_for_Cognitive_Behavioral_Therapy_for_Obsessive-Compulsive_Disorder
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000113840.pdf


系統的脱感作法・系統的脱感作療法

不安・恐怖の生じる事象を不安階層表に分けて、段階的に暴露しながら感じすぎるのを抑制(制止)していく技法。

リラクセーション法筋弛緩法自律訓練法など)と組み合わせて、リラックス(弛緩状態)によって不安・恐怖を緩和しようとする点(逆制止法拮抗条件づけ)が特徴。(単に段階的な暴露療法という意味で用いられることもある。)

リラクセーション法(筋弛緩法や自律訓練法など)を訓練によって身につけることから始まるため、時間がかかる。

不安事象をイメージして暴露する(想像エクスポージャー)ことが多いが、体験して暴露する(現実エクスポージャー)意味で用いられることもある。

例えば、学校や会社に行けるように、徐々に近くまで行けるようにしていく。


系統的脱感作法は、不安を段階的イメージ(体験)しながらリラックスで逆制止する暴露(エクスポージャー)である。


暴露療法・曝露療法(エクスポージャー法・エクスポージャー療法)

不安・恐怖の生じる事象を不安階層表に分けて、段階的に暴露しながら克服(消去)していく技法。

高所恐怖症・動物恐怖症・閉所恐怖症などの限局性恐怖症(特定の恐怖症)によく用いられる。

強い不安・恐怖に一気に暴露させる場合はフラッディング法インプロージョン法と呼ぶ。(後述)

ただし、単に一気に暴露させる意味で用いることもあるため、段階的に行うことを強調する場合には、段階的エクスポージャー(段階的暴露)などと呼ぶこともある。

不安事象を体験して暴露する(現実エクスポージャー)ことが多く、安全に配慮しながら日常生活で宿題(ホームワーク)に取り組むことが必要となる。

例えば、高所恐怖症の人に徐々に高いところに行って慣れてもらう。


暴露療法は、不安を段階的体験(イメージ)する暴露(エクスポージャー)である。

  • 系統的脱感作法と比較して用いられる場合は、リラックスで逆制止しない点が強調される。または、単に暴露するフラディング法の意味で、段階的でない点が強調されることもある。
  • 暴露反応妨害法(ERP)と比較して用いられる場合は、反応を妨害しない点が強調される。
  • フラッディング法やインプロージョン法と比較して用いられる場合は、段階的に暴露する点が強調される。


暴露反応妨害法(ERP)

不安・恐怖の生じる事象を不安階層表に分けて、段階的に暴露しながら起こる強迫行為(逃避行動)を妨害する技法。

強迫行為(逃避行動)の起こる強迫性障害(OCD)によく用いられる。

不安事象を体験して暴露する(現実エクスポージャー)ことが多く、安全に配慮しながら日常生活で宿題(ホームワーク)に取り組むことが必要となる。

例えば、潔癖症の人にドアノブなどを素手で触らせて、手を洗うのを我慢させる。


暴露反応妨害法は、不安を段階的体験(イメージ)しながら反応を妨害する暴露(エクスポージャー)である。


フラッディング法(フラッディング療法・洪水法)

強い不安・恐怖の生じる事象を一気に体験して暴露する技法。(現実エクスポージャー)

強い不安を一気にイメージして暴露する場合はインプロージョン法と呼ぶ。(後述)

暴露によって嫌なことを再体験してしまうと悪化する恐れがあるため、十分安全に配慮した上で、不安がなくなるまで長時間暴露する必要がある。(不安の強い段階で中止すると逆効果となる。)

例えば、好き嫌いのある人に嫌いな食べ物を食べてもらうと、意外と食べれるようになることがある。(いいものを食べさせて、美味しいと思ってもらうことがポイント。)


フラッディング法は、強い不安を一気に体験する暴露(エクスポージャー)である。


インプロージョン法(インプロージョン療法・インプローシブ療法)

強い不安・恐怖の生じる事象を一気にイメージして暴露する技法。(想像エクスポージャー)

強い不安を一気に体験して暴露する場合はフラッディング法と呼ぶ。(前述)

実際に体験するより安全なため、フラッディング法の前段階として行うことがある。

例えば、プレゼンや発表のイメージトレーニングをしてから本番に臨んでもらう。


インプロージョン法は、強い不安を一気にイメージする暴露(エクスポージャー)である。


いかに暴露させるか(他の療法との組み合わせ)

暴露(エクスポージャー)が必要だからと言って無理に強要すべきではないが、そのままでは暴露(エクスポージャー)をいつまで経ってもはじめられない。

そのため、認知療法と組み合わせて認知行動療法として用いられたり、第三世代の認知行動療法であるマインドフルネスと組み合わせて行うなど、行動療法以外と組み合わせで行うことが多い。

例えば、内部感覚条件づけには、通常の暴露(エクスポージャー)は困難なため、マインドフルネスによる身体感覚への注意のトレーニングを行う。(内部感覚エクスポージャー)


そのほかの心理療法にも暴露(エクスポージャー)の考え方は形を変えて存在しており、そこで行われる取り組みや工夫が参考になることもある。


不安に対する暴露(第三世代の認知行動療法)

第三世代の認知行動療法(MBSR、MBCT、ACT、DBTなど)では、正常な防衛反応ストレス反応である不安がなくなることはないため、不安をコントロールしようとするのではなく、いかに不安と付き合いながら、自分の人生を歩んでいくのかが強調される。

安全行動(安全確保行動)は、短期的な利益(不安の解消)を得られる維持要因となっているため、現在バイアスに逆らって、長期的な利益(自分の人生)を得ようとする動きが必要となる。


PTSDに対する暴露(持続エクスポージャー法など)

PTSD(心的外傷後ストレス障害)に適用される暴露療法(エクスポージャー法)としては、持続エクスポージャー法(PE)がある。


参考



関連する心理学用語

暴露(エクスポージャー)

安全行動(安全確保行動)

パニック障害

不安障害(不安症)

強迫性障害(強迫神経症)

不安階層表

行動療法

認知行動療法

第三世代の認知行動療法

マインドフルネス

マインドフルネスストレス低減法(MBSR)

マインドフルネス認知療法(MBCT)

ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)

弁証法的行動療法(DBT)

レスポンデント条件づけ・古典的条件づけ

無条件反射と条件反射

馴化と脱馴化

系統的脱感作法

森田療法

防衛反応

ストレスとトラウマ(心的外傷)

内部感覚条件づけ

現在バイアス(現在志向バイアス)

時間割引率(時間選好率)

満足遅延耐性

PTSD(心的外傷後ストレス障害)

持続エクスポージャー法(PE)


記述には慎重を期しておりますが、万一誤りや誤解を与えるような内容がありましたら、下部のコメントからご連絡いただけると助かります。

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