葛藤(コンフリクト)とは
欲求(動因)を満たす目標(誘因)が複数あるときに、迷ってしまって行動を起こせないこと。
日本語の「葛藤」は、葛(かずら)と藤(ふじ)という二つのツル草が、もつれてほどけないことを表している。
人は、葛藤によって欲求不満(フラストレーション)に陥ると、防衛機制などを働かせて、葛藤を心理的に解消しようとする。
レヴィンとラザルスによる葛藤の分類
アメリカのクルト・レヴィン(レビン)は、葛藤を3つに分類した。
アメリカのリチャード・S・ラザルスは、4つ目として、二重接近‐回避の葛藤を加えた。
分類 | 説明 | イメージ | 備考 |
---|---|---|---|
接近-接近の葛藤 | 2つの魅力的な目標(正の誘意性) | + ← 人 → + | 解消しやすい |
回避-回避の葛藤 | 2つの逃れたい目標(負の誘意性) | − → 人 ← − | |
接近-回避の葛藤 | 1つの魅力的&逃れたい目標(正&負の誘意性) | ± ⇆ 人 | |
二重接近‐回避の葛藤 | 2つの魅力的&逃れたい目標(正&負の誘意性) | ± ⇆ 人 ⇆ ± |
1. 接近-接近の葛藤(接近-接近型)
2つの目標(誘因)が、ほぼ同程度の魅力を持つ場合に、どちらにしようか迷って、行動を起こせなくなる葛藤。
このように、目標(誘因)が多ければ多いほどいい、とは限らないわけである。
迷う時間があまりに長くかかっている場合は、思い切ってどちらか一方に決めてみる。
例えば、お昼にお腹が減って、お肉も食べたいし、お魚も食べたいときである。
思い切ってどちらかに決めてしまったほうがいい。
例えば、仕事も頑張りたいし、プライベートも充実させたいときである。
悩むよりも、日々切り替えて過ごしていくほうがいい。
2. 回避-回避の葛藤(回避-回避型)
2つの目標(誘因)が、ほぼ同程度の不快感を持つ場合に、どちらから逃げようと迷って、行動を起こせなくなる葛藤。
これは、「前門の虎、後門の狼」と言われるような状況である。
接近-接近の葛藤と違って、思い切ってどちらか一方から逃げてみても、長続きしないことが多い。
例えば、家でお腹が減ったが、自炊するのも煩わしく、買いに出るのも億劫なときである。
思い切って自炊を始めても、長続きしなかったり、買い溜めをしても、また買い出しが億劫になる。
例えば、会社に行きたくないが、家にもいたくないときである。
居場所をなくして、外で時間を潰したりすることになる。
3. 接近-回避の葛藤(接近-回避型)
1つの目標(誘因)が、魅力的な部分と魅力的でない部分の両方を持っている場合に、近づくか逃げるか迷って、行動を起こせなくなる葛藤。
これは、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と言われるような状況である。
魅力的な部分と魅力的でない部分がほぼ同程度であれば、なおさら決断できない。
例えば、真夜中にお腹が減って、一つだけ保存食を見つけたが、あまり好きではない食べ物だったときである。
近くにコンビニなどなければ、それを食べるか食べないか、迷ってしまうのではないだろうか。
例えば、仕事は嫌いだが、給料が魅力的なときである。
仕事をやめたくてもやめられない状態が続いてしまう。
4. 二重接近‐回避の葛藤(二重接近‐回避型)
2つの目標(誘因)が、魅力的な部分と魅力的でない部分の両方を持っている場合に、どちらにしようか迷って、行動を起こせなくなる葛藤。
何事にも魅力的な部分と魅力的ではない部分があり、ますます人は決断が難しくなってしまう。
例えば、ダイエットをしていて、美味しいがカロリーの高いものと美味しくないがカロリーの低いもので迷う。
どちらもメリットとデメリットがあるため、迷ってしまうのも仕方がない。
例えば、複数の内定を得て、片方は面白そうだが給料が低く、もう片方はつまらなそうだが給料が高い。
自分が仕事内容と給料のどちらを優先するのかを考えてみる必要がある。
参考
関連する心理学用語
認知バイアス
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