反転図形・多義図形とは
反転図形・多義図形とは、一つの絵なのに、複数の見え方が存在する図形のこと。
反転には、図(ず)と地(じ)の反転、意味の反転、遠近の反転などがある。
錯視の一種とされることもある。
図(ず)と地(じ)の反転図形
人が対象の「形」を知覚するためには、対象を背景から分離し、1つのまとまりとして認識する必要がある。
このようにして知覚されたまとまりのある形を図(figure)と呼び、その背景を地(ground)と呼ぶ。
これは、隠し絵・だまし絵(トリックアート)でもある。
以下は、図と地の反転図形の例。
ルビンの壺(ルビンの盃・ルビンの杯)
壺(盃)と人の横顔の二通りに見える図形。
白い部分に注目すると、中央に壺(盃)が浮かび上がる。
黒い部分に注目すると、左右から向かい合う2人の横顔が浮かび上がる。
ナショナル・リーダー・ツリーの隠し絵
当時の10人の国家指導者(ナショナル・リーダー)を描いた隠し絵。
意味の反転図形
二つの意味に捉えられる絵画が多く作成されている。
これは、隠し絵・だまし絵(トリックアート)でもある。
以下は、意味の反転図形の例。
ドクロの隠し絵(インビジブル・スカル)
丸い鏡や門の下にある二人の頭が、ドクロの両目のように見える。
これは、図(ず)と地(じ)の反転の応用である。
妻と義母(娘と老婆)のだまし絵(隠し絵)
若い女性(娘)と年老いた女性(老婆)の二通りに見える絵画。
若い女性は、左奥を見ており、左耳が老婆の左目に当たる。
年老いた女性は、左方向を見ており、口が娘の首飾りに当たる。
アヒルとウサギのだまし絵(隠し絵)
アヒルとウサギの二通りに見える絵画。
アヒルは左を向いており、クチバシがある。
ウサギは右を向いており、二つの耳がある。
アヒルのクチバシが、ウサギの耳に当たる。
遠近の反転図形
遠近感の異なる複数の見方が存在する図形がある。
これは、錯視でもある。
以下は、遠近の反転図形の例。
ネッカーの立方体
前面の線と後面の線がどちらも見えているため、どちらが前かわからない。
そのため、点線のような二つの見方ができるようになっている。
マッハの本
遠近感が不明のため、本が手前に折れているのか、奥に折れているのかがわからない。
本が手前に折れている場合は、カバー(表紙)が見えており、読む人が奥にいることになる。
本が奥に折れている場合は、中身(文章)が見えており、読む人が手前にいることになる。
シュレーダーの階段
A面が手前、B面が奥だとすると、右下から左上に上がる階段のように見える。
A面が奥、B面が手前だとすると、階段が天井に逆さまについているかのように見える。
スピニング・ダンサー(シルエット錯視)
動画のシルエット錯視。
シルエットを見ただけでは、右回りに回転しているのか、左回りに回転しているのかわからない。
軸足が右足だとすると、上から見下ろして左回り(反時計回り)に回転しているように見える。
軸足が左足だとすると、上から見下ろして右回り(時計回り)に回転しているように見える。
よりわかりやすい説明(動画)は、以下をご覧ください。
彼は行くのか?来るのか?(シルエット錯視)
静止画のシルエット錯視。
シルエットを見ただけでは、向こうに向かっているのか、こちらに近づいているのかがわからない。
参考
関連する心理学用語
ゲシュタルト
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