オンラインカウンセリングの特徴(対面カウンセリングとの違い)
オンラインカウンセリングには、以下のように多くの種類がありますが、体面カウンセリングと異なる特徴があり、それを知った上で取り組むことが必要です。
- テキストカウンセリング
- メールカウンセリング
- チャットカウンセリング
- メッセージカウンセリング
- 音声カウンセリング
- 電話カウンセリング
- 音声通話カウンセリング
- ビデオカウンセリング
- 対面フォローのビデオカウンセリング
- オンライン専門のビデオカウンセリング
それぞれの特徴や比較について、詳しくは以下をご覧ください。
ここでは、オンラインカウンセリングと対面カウンセリングの違いを説明した上で、最後にオンラインカウンセリングのメリット・デメリットをまとめます。
時間や場所の制約がない(手軽に利用できる)
オンラインカウンセリングでは、クライアントはカウンセリングルームへの移動時間など不要となり、場合によってはすぐにカウンセリングを受けられるようになります。
ITツールに慣れた人にとってはなおさらですし、地理的に離れた遠方からでもカウンセリングを受けられるというメリットもあります。
これは、身体障害や運動障害を持った方にとってもメリットになります。
外出の機会が減る/予約キャンセルが減る
カウンセリングで外出することが、気分転換になることがあります。
これは、自らの意志では外出が困難な人にとって、貴重な運動習慣を失う恐れがあります。
逆に、心が疲れた人にとって、外出は大変な労力を必要とすることがあります。
そのため、外出が億劫で予約をキャンセルしてしまうことが減少するメリットが考えられます。
視覚情報や非言語情報が減少する・曖昧になる
オンラインカウンセリングでは対面と比較して、非言語情報などの情報が減少します。
うなずきや表情、声のトーンなどが伝わりにくいため、やや過剰に言語化が必要です。
テキストカウンセリングでは、テキスト(文字)以外の情報がなくなります。
音声カウンセリングでは、ビデオ(映像)情報がなくなります。
ビデオカウンセリングでは、手元や足元などビデオに映らない部分の情報がなくなり、手遊びや貧乏ゆすりなどによる緊張や不安は伝わりません。また、タイムラグで遅れたり、声のトーンや表情がわかりにくく曖昧になります。
匿名性が高く、心理的障壁が低い(抵抗感を感じにくい)
テキストカウンセリングでは、場合によっては名前や性別さえ伝わりません。
音声カウンセリングでは、性別はわかっても年齢・年代や身なりなどは伝わりません。
ビデオカウンセリングでは、性別や年代、身なりなどは伝わりますが、そもそもカウンセリングルームに行く必要がないため、知り合いに見られたりする恐れがありません。
カウンセリングルームに行くのは抵抗感を感じる人が多くいます。オンラインカウンセリングによって、心理的な障壁が下がり、多くの人が状態が悪化する前にカウンセリングを受けられるようになることを期待しています。
また、オンラインカウンセリングは、その匿名性から自己開示が進みやすいという特徴も挙げられます。
対面による圧迫感や緊張感を感じにくい
対人恐怖や視線恐怖のある人にとって、モニター越しであれば威圧感を感じづらく、身に危険が及ぶことを恐れて身構える必要もありません。
防音性があって密室となるカウンセリングルームでは、これは特に考慮すべきストレスだと言えます。
情報量の少ないテキストカウンセリングの場合に顕著で、面と向かって愛の告白をするのは恥ずかしいが、ラブレターなら緊張しないことと似ています。
これらの理由から、対人関係に不安のある社会不安・対人恐怖の方、広場恐怖や視線恐怖の方、公共交通機関での移動が困難なパニック障害の方、自閉症傾向のある方には望ましい方法と言えます。
自分の慣れた環境でリラックスできる
オンラインカウンセリングは自宅など自分の慣れた環境で受けられるため、リラックスして受けられます。
カウンセラーのホームグラウンドでカウンセリングを受けるのか、自分のホームグラウンドでカウンセリングを受けるのかの違いです。
自分で安心できる環境を準備する必要がある
カウンセリングルームは、カウンセラーが静かで集中しやすい環境を準備しますが、オンラインカウンセリングでは、自分で用意する必要があります。
自宅で個室など安心できる環境を準備できない人はビデオカウンセリングや音声カウンセリングが難しい場合があります。(テキストカウンセリングであれば大丈夫な場合があります。)
自宅など生活の様子が伝わりやすい(擬似的な家庭訪問)
実は、オンラインカウンセリングは、対面カウンセリングでは得られない情報が伝わることがあります。
例えば、自宅で受けている場合は、部屋の様子や普段の服装など生活の様子、お子さんやペットの様子などがわかることがあります。
これは、擬似的な家庭訪問のような効果を生みます。
また、自律訓練法やマインドフルネスなどの訓練を実際に自宅でやってみせられるのは大きなメリットになります。
ITスキルが必要となる
電話カウンセリングやメールカウンセリングが広まったのは、使い慣れた人が多かった点が挙げられます。
すでにZoomなどの利用が広がる中で、オンラインカウンセリングの裾野が広がっていますが、それにはITに慣れておくことが必要となります。
また、カウンセリングではスタッフだけでなく、カウンセラー自身にもITスキルが求められるのが特徴です。
守秘義務のあるカウンセリングにおいて、セッション中にスタッフの助けを借りて操作するわけにはいきませんよね。
ITサポートが必要となる
オンラインカウンセリングでは、以下のようなことが求められます。
- IT機器の接続・設定(スマホ、パソコン、Webカメラなど)
- ITツールの設定・操作(LINE、Facebook、Twitter、Zoomなど)
- オンライン決済の利用(クレジットカードが必要)
スマホやパソコンはすでに一般的ですし、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、リモート勤務やオンライン交流会で、カメラやマイクを使う人も増えました。
メールは言うに及ばず、チャットもLINEで一気に広がり、SNSなどオンラインコミュニケーションが増えています。
オンライン決済も、クレジットカードは必要ですが、国を挙げてのキャッシュレス施策で、〇〇Payなどの利用が広がっています。
そういった状況にあっても、オンラインカウンセリングを提供するためには、ITサポートが必要となります。
たまにITサポートをしないと名言しているカウンセラーもいますが、接続できないと始まらないオンラインカウンセリングで、お金だけとって接続までをサポートしないというのは論外です。
機器や通信のトラブルが懸念される
オンラインカウンセリングでは、機器の設定トラブルや通信や接続のトラブルが起こります。
その対処のために、トラブルシューティングを覚えておく必要があります。
接続はできていても、映像や音声が乱れたり不安定になったりすると、カウンセリングは行えません。
一方で、技術の進歩と共に通信やビデオ・音声通話サービスの品質は向上しています。
なお、メールカウンセリングやメッセージカウンセリングでは、接続の安定性は大きな問題になりません。
コストが安いだけでなく、移動時間や交通費もかからない
オンラインカウンセリングだけであれば、カウンセリングルームの賃料や人件費が不要となるため、カウンセリング料金は比較的安価に設定されます。
このため、カウンセリングルームを持つカウンセラーは、安価なオンラインカウンセリングに手を出したがらない傾向があります。
クライアント側から見ても、カウンセリング料金だけでなく、移動時間や交通費が不要となるため、実際の料金以上のメリットを感じる方もいます。
新しい働き方や生活様式を取り入れられる
クライアントは、お昼休みなどの休憩時間を使ってオンラインカウンセリングを受けることができます。
フリーランスとして働く方や自営業の方、在宅勤務や内職の方であれば、なおさら取り入れやすくなります。
これは、働く人の生産性を変える可能性を秘めています。カウンセリングだけでなく、コーチングを受けることも効果的でしょう。
働く人だけでなく、新しい生活様式とも言えるかもしれません。
カウンセラーも、オンラインカウンセリングを取り入れることで、場所や時間に縛られない新しい働き方や生活様式を実現できます。
特に、カウンセラーは自分自身の心の健康を維持するため、働き方は大変重要な要素です。カウンセラーの健康的な状態が、結果的に良いカウンセリングにつながります。
また、カウンセラーには社会経験のある方が望ましいですが、そういった第二のキャリアを持つカウンセラーが増えるというメリットも考えられます。
日常との境界が曖昧になり、すぐに切り替えられない
クライアントは、オンラインカウンセリングが終わると、すぐに自宅など毎日の日常に戻ります。
そして、すぐに気持ちを切り替えられず、ぼーっとしてしまったり、どっと疲れを感じたりすることになります。
そのため、オンラインカウンセリングが終わったら、深呼吸やストレッチを行うなど、徐々に日常に戻るように時間をかける心構えがクライアントには必要です。
カウンセラーは、予約をせずにすぐ始められる場合は特に、日常からすぐにカウンセリングが始まるため、なかなか切り替えられないことがあります。
そのため、オンラインカウンセリングは序盤が難しいことが多く、ITスキルに不安のある方はなおさら時間がかかる場合があります。
緊急時にすぐ相談できる/危機介入に限界がある
オンラインカウンセリングでは、物理的に距離が離れているため、緊急時にすぐ開始できるという特徴があります。
そのため、ゲートキーパーとしての役割を果たします。
一方で、緊急時には物理的な距離や匿名性などが壁となり、直接的な介入には限界があります。IDなどから照会する方法もありますが多少専門的です。
カウンセラーは、オンラインカウンセリングの危機介入の方法を知っておく必要があり、電話番号や大まかな住所を確認しておくこと場合もあります。
オンラインカウンセリングの特徴まとめ(メリット・デメリット)
以下に、オンラインカウンセリングの特徴をメリットとデメリットにまとめます。
メリット
- 時間や場所の制約がない(手軽に利用できる)
- 匿名性が高く、心理的障壁が低い(抵抗感を感じにくい)
- 対面による圧迫感や緊張感を感じにくい
- 自分の慣れた環境でリラックスできる
- 自宅など生活の様子が伝わりやすい(擬似的な家庭訪問)
- コストが安いだけでなく、移動時間や交通費もかからない
- 新しい働き方や生活様式を取り入れられる
- 緊急時にすぐ相談できる(予約が必要な場合は別)
デメリット
- 視覚情報や非言語情報が減少する・曖昧になる
- ITスキルが必要となる
- ITサポートが必要となる
- 自分で安心できる環境を準備する必要がある
- 機器や通信のトラブルが懸念される
- 日常との境界が曖昧になり、すぐに切り替えられない
- 危機介入に限界がある
メリットとデメリットは表裏一体です。どちらかが優れていると決めつけずに、状況や症状に合わせて選択するようにしましょう。
悩みやストレスを抱えている人は、助けを求めることも必要です。
オンラインカウンセリングの申し込みの流れ
お申し込みからカウンセリング開始までの流れは、以下のようになります。
- Step 1お申し込みフォームからご連絡
ご希望のツールをお選びください。
- Step 2メールで各種ご案内
日程が合わない場合は再調整させていただきます。
- Step 3メールからお支払い
カードの個人情報は伝わりませんのでご安心ください。
- Step 4メールからアクセスを確認
アカウントやルームへのアクセス方法をご案内します。
- Step 5お支払いが完了したらカウンセリングを開始
ストレッチや頭の整理のため、前後に15分程度の時間の余裕をお持ちください。
個人カウンセリング
個人向けのカウンセリングについては、詳しくはこちらをご覧ください。
コンサルティング
オンラインカウンセリングのコンサルティングについてはお問い合わせください。
オンラインカウンセリングのガイドライン・エビデンス等
自殺対策における SNS 相談事業 (チャット・スマホアプリ等を活用した文字による相談事業) ガイドライン(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000494485.pdf
学生相談におけるオンラインカウンセリングの可能性 –ビデオ通話・音声通話・テキストによる心理相談の試験的導入–(京都大学)
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/244065/1/KUGSSC_048_19.pdf
Working online in the counselling professions(BACP: British Association for Counselling and Psychotherapy)
https://www.bacp.co.uk/media/2162/bacp-working-online-supplementary-guidance-gpia047.pdf
Guidelines for the Practice of Telepsychology(APA: American Psychological Association)
https://www.apa.org/pubs/journals/features/amp-a0035001.pdf
Getting Started with Telemental Health(APA: American Psychological Association)
http://www.abct.org/docs/Resources/Telehealth_Kate_Morrison.pdf
Ethical Issues in Online Psychotherapy: A Narrative Review(U.S. National Library of Medicine)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7026245/pdf/fpsyt-10-00993.pdf
Remote Session Guidelines for Periods of Restricted Travel(American Psychoanalytic Association)
https://apsa.org/sites/default/files/Guide3-24.pdf
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