社交不安障害(SAD)とは
社交不安障害(SAD)は、社交恐怖・社会恐怖とも言われ、知らない人たちの前で注目を浴びる状況に対して強い恐怖感を感じるものです。
恥をかいたり、恥ずかしい思いをすることを恐れ、そのような状況を回避しようとします。
その結果、家族や限られた友人とだけ付き合いが制限されたり、仕事の範囲が制限されたりすることがあります。
これは、一見外交的であったり、自信のありそうな人の場合でも起こるものであり、特定の状況で症状が生じます。
思春期以前から続いていることが多く、特定の不安状況を回避することで、普通に生活していることもあります。
一方で、長期間にわたって慢性化していることが多く、不安状況に直面すると、そのほかの不安障害、うつ病、気分変調性障害、アルコール依存症などにつながる恐れがあります。
身体症状としては、赤面、発汗、震えなどを生じ、そのことに過剰に反応してしまうために、さらに赤面、発汗、震えなどが大きくなるという悪循環に陥ります。
また、引きこもりなどによって社会的な対人関係が失われると、ますます対人関係に慣れることができなくなり、さらに不安・恐怖が増すという結果になります。
社交不安障害と対人関係療法
社交不安障害(SAD)に用いられる対人関係療法(IPT)では、内気で消極的な性格と思っているものが、実は性格ではなく病気の症状でそうなっているという点が強調されます。
不安や恐怖が解決した際には、本当のパーソナリティが現れてきます。
不安はその状況や役割などによって生じるものであり、状況や役割が変われば不安も変わります。
ただ、対人関係やコミュニケーションに対して、人よりも敏感なだけなのです。
対人関係療法(IPT)では、コミュニケーション場面におけるロールプレイイングなども行います。
言語コミュニケーションだけでなく、非言語コミュニケーションが相手にどう伝わるかを理解する上でも、ロールプレイイングは有用なものです。
社交不安障害とACT
同じく、社交不安障害(SAD)に用いられるACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)では、不安や恐怖は誰もが感じる正常な感情であることが強調されます。
(ACTは、認知行動療法にマインドフルネスを取り入れた第三世代の認知行動療法です。)
不安や恐怖を感じなければ、怪我を避けたり、ストレスから逃げたりすることができなくなるのです。
そのため、不安と戦ったり、逃げたりするのではなく、不安と付き合っていくことが目指すべき姿になります。
不安や恐怖をなくそうとするのではなく、不安や恐怖に慣れることも必要なのです。
ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)では、不安を感じながらも前進してくために、人生の価値を探索します。
そして、人生の価値に向かうには、ほとんどの場合、人とのつながりは避けて通れないのです。
参考
関連する心理学用語
不安障害
うつ病
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