系統的脱感作法・系統的脱感作療法とは
不安・恐怖の生じる事象を不安階層表に分けて、段階的に暴露しながら感じすぎるのを抑制(制止)していく技法。
心理療法としては、行動療法(レスポンデント)に分類され、のちに発展した暴露療法(エクスポージャー法)の一種であるとされる。
不安・恐怖の強い不登校や出社拒否、高所恐怖症やあがり症などに用いられる。
南アフリカのジョセフ・ウォルピによって開発された。
リラクセーション法(筋弛緩法や自律訓練法など)と組み合わせて、リラックス(弛緩状態)によって不安・恐怖を緩和しようとする点(逆制止法・拮抗条件づけ)が特徴。(単に段階的な暴露療法という意味で用いられることもある。)
リラクセーション法(筋弛緩法や自律訓練法など)を訓練によって身につけることから始まるため、時間がかかる。
例えば、不登校の場合は以下のように目標となる行動を細分化して進める。
- 朝の起床時間に寝床(布団)から出て朝日を浴びる
- 朝起きたら顔を洗う
- 朝起きたら顔を洗って服を着替える
- 朝起きたら身支度を整えて玄関で靴を履く
- 朝起きたら身支度を整えて玄関の外に出る
- 朝起きたらカバンを持って玄関の外に出る
- 朝起きたらカバンを持って近くの公園まで行く
- 朝起きたらカバンを持って図書館まで行く
- 朝起きたら学校の校門の前まで行く
- 朝起きたら学校に行って校門の中に入る
- 朝起きたら学校に行って校舎に入る
- 朝起きたら学校に行って保健室に入る
- 朝起きたら学校に行って教室の前まで行く
- 朝起きたら学校に行って教室の中に入る
- 朝起きたら学校に行って教室で授業を1時間だけ受ける
- 朝起きたら学校に行って教室で授業を午前中だけ受ける
- 朝起きたら学校に行って教室で授業を1日受ける
不安事象をイメージして暴露する(想像エクスポージャー)ことが多いが、体験して暴露する(現実エクスポージャー)意味で用いられることもある。
系統的脱感作法は、レスポンデント条件づけ・古典的条件づけであるため、報酬となる強化子は不要だが、その環境に暴露しても嫌なことが起こらないことを繰り返し体験(イメージ)する必要がある。
行動療法(オペラント)のシェーピング法(シェイピング法)と組み合わせて、リラクセーション法の代わりに報酬となる強化子が用いられることがある。
以下の図は、系統的脱感作法を開発したジョセフ・ウォルピ。
https://www.semanticscholar.org/paper/Joseph-Hersey-Pratt-(1872%E2%80%931956)%3A-An-early-proponent-Ambrose/bcafb123885ec0086d8683f39ca3d85779e893af
参考
関連する心理学用語
不安階層表
行動療法
EMDR
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