怒りを鎮める方法はいくつかありますが、その場限りの対処療法よりは、本質的な体質改善をしたいものです。怒りにはいくつかの性質がありますが、主に以下が挙げられます。
怒りの特性1. 怒りは立場の高い者から低い者に向けられやすい
怒りは高いところから低いところに流れます。
職場で上司が部下を怒るシーンは昔ほどあからさまではないかもしれませんが、『パワハラ(パワーハラスメント)』という言葉があるように、決してなくならない問題です。人間に立場の上下などないはずですが、職場ではどうしても立場が生じてしまいます。逆に上司の方が立場が弱い場合もありますが。
家庭でも未だに男尊女卑的のような考え方が残るところもあります。逆に男性が女性の尻に敷かれている場合もあります。
いずれにしても、立場が弱い者は強い者の感情のはけ口になりやすくなります。
怒りの特性2. 怒りは身近な人にぶつけられる
怒りは身近な対象にほど強くなります。
職場で怒りのぶつけ合いが多いのは上司と部下の関係です。それだけ仕事での関わり合いが多いからでしょう。
家庭でも夫婦は喧嘩をするものですが、これも身近な人に怒りをぶつけやすい性質があるからです。
仲の良かった先輩後輩と上司部下の関係になった途端に関係が悪化することがあります。
好きで結婚したのに夫婦喧嘩ばかりご経験をされている方もいるでしょう。
怒りの特性3. 怒りは飛び火する
怒りは矛先を固定できません。
職場の怒りやイライラを家庭に持ち帰って、パートナーにぶつけてしまう。家庭の怒りやイライラを職場に持って行って、上司や部下にぶつけてしまう。
一見飛び火ではないように見えても、業績の悪さへの怒りを部下にぶつけたり、子育てのイライラをパートナーにぶつけたりということもあります。
これは健康面でも言えます。体調が悪いと、そのイライラをパートナーや同僚にぶつけてしまいます。この場合も、身近な人がその対象になりやすくなります。
怒りの特性4. 怒りは伝染しやすい
人に怒りをぶつけると、新たな怒りとなって帰ってきます。
職場でもイライラしている人がいると、職場全体にイライラした人が増えたりします。特にリーダーがイライラしていると、立場が弱い者に怒りをぶつけやすいので大変です。
家庭でパートナーがイライラしていると、自分もイライラしてきます。そして、子供までイライラしやすくなったりします。
あなたも誰かの怒りをもらってきていないでしょうか。その怒りはあなたのものでしょうか。
怒りの特性5. 怒りはエネルギーになる
怒りにはデメリットもありますが、メリットもあります。
何かに対して怒っているということは、なんとかしたいと思っているということです。
怒りが伝染しやすいのも、本質的には相手の怒りをなんとかしたいと思っているからかもしれません。
そのなんとかしたいというエネルギーは、人にぶつけるのではなく、行動につなげていきたいものです。
怒りを鎮めるための体質改善
1. 怒りを立場の低い者に向けないためには、人として対等な立場を意識する必要があります。職場で『ダイバーシティ(多様性)』が叫ばれるのは実はこういった理由もあります。人の違いは立場の違いではありません。人格否定は厳禁です。
2. 怒りを身近な人にぶつけないためには、近しい人にも一定の距離感が必要です。
『親しい仲にも礼儀あり』です。機嫌が悪いのなら、時間をあけましょう。
3. 怒りを飛び火させないためには、自分のイライラの原因に気づくことが本質でしょう。
気づくには客観的な視点が必要となり、日記など書くことの習慣化や『マインドフルネス瞑想』などが体質改善策として考えられます。健康面の維持・改善も大切です。
4. 怒りを伝染させないためには、怒りをコントロールする必要があります。
対処療法も含めて『アンガーマネジメント』を行います。人前で怒ることなどもってのほかですね。
自分の怒りに点数をつけてみたり、頭の中で数字を数えてもいいでしょう。
5. 怒りをエネルギーにするには、建設的でポジティブな姿勢が求められます。
ネガティブな感情エネルギーはマイナスの効果を生み出します。自分の心の健康維持にお気をつけください。
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