暴露・曝露(エクスポージャー)とは
不安・恐怖を克服するために、不安・恐怖の生じる事象に直面すること。実際には予想したような悪い結果にならないことを体験的に理解する。
社交不安障害(社交恐怖・対人恐怖症)や全般性不安障害、パニック障害や広場恐怖症、特定の恐怖症(高所、動物、閉所、嘔吐など)などの不安障害(不安症)や強迫性障害(強迫神経症)などで行われる。
やっていることはレスポンデント条件づけ・古典的条件づけによる条件反射の消去である。
第三世代の認知行動療法(MBSR、MBCT、ACT、DBTなど)では、暴露(エクスポージャー)と似た概念をアクセプタンスと呼ぶ。
暴露(エクスポージャー)は受動的だが、アクセプタンスは能動的である。
回避行動・逃避行動などの安全行動(安全確保行動)を行うと、短期的には不安・恐怖が解消されるが、長期的には悪化するため、そのような行動を取らないように反応妨害を行うこともある。
意識をそらしたり、別のことを考えたりすること(気そらし)も安全行動(安全確保行動)であるため、第三世代の認知行動療法では、「注意のトレーニング」を行うマインドフルネスが用いられる。
第三世代の認知行動療法では、正常な防衛反応・ストレス反応である不安がなくなることはないため、不安をコントロールしようとするのではなく、いかに不安と付き合いながら、自分の人生を歩んでいくのかが強調される。
トラウマケアやポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)などでは、耐性領域(耐性の窓)を維持することで、トラウマの再体験、暴露(エクスポージャー)を安全に行うことができるとする。
そのためには、身体的安全性や心理的安全性の感じられる環境(居場所・安全基地)を確保した上で、安全であることを身体感覚(内受容感覚)で感じ取れるように支援する。
以下は、暴露(エクスポージャー)の考え方が含まれる代表的な心理療法。
日本で生まれた森田療法にも暴露の考え方(恐怖突入)がある。
- 行動療法(認知行動療法)
- 系統的脱感作法
- 暴露療法(エクスポージャー法)
- 暴露反応妨害法(ERP)
- フラッディング法
- インプロージョン法
- 第三世代の認知行動療法
- マインドフルネスストレス低減法(MBSR)
- マインドフルネス認知療法(MBCT)
- 弁証法的行動療法(DBT)
- ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)
- 日本生まれの心理療法
- 森田療法
段階的暴露(段階的エクスポージャー)と不安階層表
暴露(エクスポージャー)する対象は、不安・恐怖の起こる状況を不安階層表としてまとめて、低いものから順番に暴露(エクスポージャー)していく。
不安階層表をすぐに作れない場合は、不安・恐怖のきっかけとなるトリガーを書き出すこともある。
反応妨害を行う際は、安全行動(安全確保行動)を書き出すこともある。
暴露(エクスポージャー)の種類
以下は、代表的な暴露(エクスポージャー)の類型である。
- 現実エクスポージャー(状況エクスポージャー)
- 想像エクスポージャー(イメージ暴露)
- 筆記エクスポージャー(書く暴露)
- 内部感覚エクスポージャー(内部感覚暴露)
- VRエクスポージャー(バーチャルリアリテイ・エクスポージャー)
内部感覚エクスポージャーの対象は、社交不安障害(社交恐怖)であれば赤面、発汗、震えなどであり、嘔吐恐怖症であれば吐き気であり、高所恐怖症であればめまいであり、動物恐怖症であれば冷や汗であり、閉所恐怖症であれば過呼吸である。
内部感覚エクスポージャーは、内部感覚条件づけの消去である。
参考
関連する心理学用語
パニック障害
不安障害(不安症)
強迫性障害(強迫神経症)
不安階層表
行動療法
認知行動療法
第三世代の認知行動療法
マインドフルネス
マインドフルネスストレス低減法(MBSR)
マインドフルネス認知療法(MBCT)
ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)
弁証法的行動療法(DBT)
耐性領域(耐性の窓・Window of Tolerance)
森田療法
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