カマス理論とは
学習性無力感(学習性無気力)の説明に用いられるメタファー(例え話)。
空腹のカマスを透明な仕切りのある水槽に入れ、反対側に小魚を入れると、何度も小魚を食べようと透明な仕切りにぶつかるが、いずれ何をやっても食べられないと学習する(あきらめる)ようになる。
その後、透明な仕切りを取り払っても、小魚を食べようとしないが、別のカマスを水槽に入れると小魚を食べるので、その様子を観察して、小魚をまた食べるようになる。
この話は、観察学習(モデリング)による学習性無力感の改善例である。
企業の人事では、フレッシュな新人を採用することで、新しい風を吹き込み、学習性無力感に陥った人材の再活性化が行われる。
しかし、活発に改善提案や発言をする人は、それだけ無力感を学習することが多くなるため、学習性無力感に襲われやすい。
そのため、「言い出しっぺが損をする」、「出る杭が打たれる」などの環境のままでは、いくら人を入れ替えてもすぐに硬直化してしまう負のスパイラルとなる。
カマス理論のメタファーで言えば、透明な仕切りを取り払うことなしに、組織の活性化や生産性(パフォーマンス)の向上は持続できないのである。
最近ではGoogleなどの取り組みから、心理的安全性を確保することの重要性が叫ばれている。
学習性無力感(学習性無気力)はうつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)と似た症状を示し、毒親の家庭で育った子供の抑うつ状態を説明することにも用いられる。
逃げ場のない家庭環境などで、過干渉な親に厳しく支配されて育った子供は、成長して大人になっても親の言いなりになってしまいやすい。
学習性無力感(学習性無気力)については、ポジティブ心理学を提唱したマーティン・セリグマンによって、犬を使った電気ショックの実験が行われている。
学習性無力感(学習性無気力)のメタファー(例え話)としては、サーカスの象(鎖につながれた象)も用いられる。
参考
関連する心理学用語
うつ病
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
認知行動療法
ポジティブ心理学
毒親
パワハラ
外在化
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