アルバート坊やとは
行動主義(古典的行動主義)を提唱したアメリカのジョン・ワトソンが行ったレスポンデント条件づけ・古典的条件づけの乳児に対する実験。
1歳に満たないアルバート坊やに白ネズミ(ラット)を見せて、背後で金属の棒を金づちで叩いて大きな音を出すことを繰り返すと、白ネズミ(ラット)を見ただけで泣き出すようになる。(恐怖条件づけ)
アルバート坊やの実験では、白ネズミ(条件刺激)が大きな音(無条件刺激)の出現を予報する予報的信号となって働いている。
無条件刺激に対して、学習によらず先天的に起こる反射的行動を無条件反射(無条件反応)と呼ぶ。
条件刺激に対して、学習によって後天的に起こる反射的行動を条件反射(条件反応)と呼ぶ。(学習によって、中性刺激が条件刺激に変化する。)
ジョン・ワトソンより以前に、イワン・パブロフ(パヴロフ)も、レスポンデント条件づけ・古典的条件づけについて、パブロフの犬(パヴロフの犬)の実験を行っている。
以下の動画は、アルバート坊やの実験によって、レスポンデント条件づけ・古典的条件づけが成立する流れを示している。(3:20、音声なし)
最初、アルバート坊やがサル、イヌ、白ネズミ(ラット)、ウサギをそれぞれ恐れていない様子が映し出される。
そして、撮影外でレスポンデント条件づけ・古典的条件づけが行われ、映像が停止から動き出すと、動物から逃げようとする様子が映し出される。(2:10〜)
また、動物だけでなくコートやマスクにも恐怖反応を示すようになる。(2:58〜)
このように、レスポンデント条件づけ・古典的条件づけが行われた条件刺激(動物)に類似した条件刺激(コートやマスク)でも条件反射が起こる。
この現象を般化(刺激般化)という。(汎化ではない。)
アルバート坊やの実験は、乳児にトラウマ(心的外傷)を植え付ける実験だとして、現在では倫理的に非難されている。
なお、無条件刺激(大きな音)がない状態で条件刺激(白ネズミ)を与え続けると、徐々に条件反射が低減される。
この現象を消去という。(実際には消去というより、新たな学習による抑制である。)
参考
関連する心理学用語
恐怖条件づけ
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